「最近仏壇が欲しいなとは思っているのですが、亡くなった人もいないです。買ってもいいのでしょうか?」
「買うと誰かが死ぬと聞いたことがあります。嘘だとは思いますが縁起が悪いと言われるので買うのをためらっています。」
このような疑問や不安にお答えします。
先に答えを言ってしまいますが、
「ほしいと思ったら、いつでも買って構いません。」
「仏壇は縁起がいいものです。都市伝説に惑わされないで!」
では、一つ一つわかりやすく深掘りしていきたいと思います。
仏壇に位牌は『なくてもいい』
皆さんは仏壇を買うとしたらいつにしますか?
多くの方は、「身近な人が亡くなった時」と答えると思います。
その場合、必然的に位牌も一緒に買うことになるので、仏壇は位牌を安置するものという常識が広がったものと考えられます。
しかし、必ずしもそのタイミングで買う必要はありません。
誰も亡くなった人がいなくても仏壇を購入してもいいのです。
そもそも仏壇とは、本尊をお祀りし仏様に祈りを捧げる場所として生まれました。
ですから位牌はその脇に置かせてもらう程度に考えられていたのです。
なぜ、仏壇=位牌となったのか?
仏教は古墳時代の538年(552年の説もあり)に日本に伝来し、人々に広まりました。
そして、江戸時代になると【檀家制度】が取り入れられます。
檀家制度とは、簡単に言うと近くのお寺が戸籍を管理することです。
そのため、日本人の殆どが仏教徒となりました。
仏教も長い年月をかけ、日本人に合う形に変化していきます。
古来より先祖を祀る習慣があったので、仏教にも自然と取り入れられていきました。
なので、現在の仏教では、仏様と位牌を一緒に祀るようになったと言われています。
しかし、現代に見られている【宗教離れ】が加速し、仏教や本尊(仏様)の意味も知らず、身近な人の分身である位牌のほうが大切という考え方が強くなりました。
こうして、「仏壇は位牌を安置するもの」という考え方が一般化され、仏壇を買うのは誰か身近な人が亡くなった時となったのです。
ですが、そんな現代においても、仏壇の中に本尊がないことはまずありません。
仏様あっての私達、という考えや仏教の死生観が、古来から日本人の体に染み付いているのかもしれません。
位牌を使わない宗派もあります
浄土真宗で位牌を使わず、法名軸や過去帳に法名(他宗では戒名という)を書くことになります。
詳しくはこちらで紹介しています。
この記事は、法名軸の【価格の違い】だけでなく、【記入例】や【置く場所】などの基本もおさらいしてます。法名軸が必要になるのは浄土真宗のみです。 故人の法名をいただいたはいいが、次にどうしたらいいのかわからない[…]
じゃあ、逆のパターンはありか?
仏壇は位牌がなくても買ってもいい、と言いました。
では、逆に位牌だけを家に祀ることはダメなのでしょうか?
実はこれ意見が分かれるところでして、これという正解がありません。
仏教に精通している人は「位牌だけなんておかしい!」というでしょう。
ただ、自覚のない仏教徒(ほとんどの日本人)にとってピンとこないのもわかります。
見たことのない仏様より、昨日まで生きて話していた両親や兄弟に強い想いを抱くのは至極当然です。
その分身である位牌のほうが大事と考えるのもうなづけます。
これは日本人の信仰の素晴らしい所だと思います。
日本人全員が仏教の教えに忠実なわけではありません。
堅苦しく考えず、位牌にも仏様にも手を合わせる気持ちが日本人らしくていいと思います。
私の個人的な考えですが、位牌にも【家】があったほうがいいと思っています。
それが厨子でも、仏壇でも構いません。
そのほうが落ち着きませんか?
仏壇ではなく、厨子という選択肢は【アリ】でしょうか?結論から先に言っておきます。【アリ】です。 「核家族化」という言葉は昔からありますが、もう当たり前すぎて誰も使わなくなっています。仏壇は核家族化により[…]
位牌は一人に1つ?
位牌がなくても仏壇を求めていい、仏壇がなくても位牌だけでもいい、手を合わせる気持ちが大切、と先ほど話しました。
すると、こんな疑問が浮かぶ方もいるかと思います。
「実家にある仏壇に、離れて暮らす自分は何もできないの?」
「実家を出た人には供養する術がないのか?」
仏壇も位牌も実家だし、供養できないのは仕方ないよね。
と考える方が多いと思います。
一般的に位牌は、【故人一人につき1つ(1基)】と思われています。
ですが、
親の立場からすると、子供たちみんなに供養してもらいたいと考えるのではないでしょうか。
「いやいや、亡くなった人の魂が別れてしまうではないか!」
「位牌を作っても、形だけになるんじゃないの?」
と思うかもしれませんが、位牌とは、故人との気持ちをつなぐツールの一つです。
魂が一つの位牌の中で、じっとしているわけではありません。
子供たちが、それぞれ好きな仏壇や位牌を準備して、各自の家で手を合わせるのが本来の姿だと思います。
位牌だけでなく、分骨をすることだってできます。
そのときは開眼供養(魂入れ)の儀式を住職にしてもらいましょう。
お寺とお付き合いがなくても大丈夫です。
位牌ってそもそも何?
位牌と聞いてまず頭に浮かぶのは、黒い板に字が書いてあるもの、ではないでしょうか。
仏壇の中にある位牌は本位牌といいます。
種類も多く、大きさも仏壇に合わせて選べるようになっています。
詳しくはこちらで紹介しています。
位牌が必要な時にすることは?【大まかな流れ解説】このサイトを検索してこられたあなたは、「故人の葬儀が終わったら、位牌を用意しなければいけないと言われた」「葬儀場の人は何も教えてくれなかった」「白い木の位牌[…]
前回、位牌の大きさや種類を検討し、間違いないものを選んでいただけたかと思います。まだ選んでいないという方はこちらから読んでください。位牌を初めて選ぶ時の注意点などを掲載しています。[sitecard subtitle=初めての位[…]
位牌とは、死んだ人の魂が宿るものです。
だからこそ手を合わせて祈ったり、供養を毎日欠かさないのです。
魂とか、非科学的なことを言うと、「怪しい人」「危ない人」「近寄らないようにしよう」なんて思われそうですが、位牌に関しては、日本人の多くは素直に受け入れ、魂が宿っていると考えます。
この気持ち(信仰)が無くなることはなく、これからも未来永劫続いていくのは間違いないでしょう。