法名軸が必要になるのは浄土真宗のみです。
故人の法名をいただいたはいいが、次にどうしたらいいのかわからない方は必読です。
法名軸の基本から、院号による値段の疑問を、初めて法名軸を作られる方向けに簡単な言葉で解説していきます。
こんな疑問や不安が解決します。
希望意外に高いので安くしたい。
院号をやめる(詳しく解説します)
不安お寺に頼まなければいけないの?
法名は頼んでください。法名軸は仏壇店から購入でOK(詳しく解説します)
疑問法名軸じゃなくて、位牌がいいんだけど。
回出位牌があります。最近は板位牌でも可。(詳しく解説します)
法名軸を作ってもらう3つの方法
少しややこしいかもしれませんが、わかりやすくチャートにしたので理解してもらえると思います。
院号法名を本山からもらって法名軸を作る
葬儀の読経をお願いした菩提寺の住職、もしくは葬儀社から紹介してもらった住職から【法名】をいただけます。
その法名の上にさらに字を足したものを【院号】といいます。
例えば、法名が「釈○△」(女性は「釈尼○△」)だとしたら、院号をつけると「☆◎院釈○△」となります。
この6文字ないし7文字を【院号法名】といいます。
【院号】をもらうには、本山にお布施をしないといただけません。
その額は宗派によって違い、本願寺派(お西)では20万円以上、大谷派(お東)では8万円以上となっています。
院号をもらう以外にも色々な特典があるようですが割愛します。
実際の流れはこんな感じ
具体的な手順ですが、法名をもらう前に住職から「院号はどうされますか?」と聞かれると思います。
聞かれなかったら、こちらから聞いておきましょう。
必要だと思えばつけてもらいましょう。
本山へ手配していただけるので、お布施という形で後日お金を払うことになります。
院号を付けた法名を白木位牌に書き、告別式が進んでいきます。
後日、本山の名で院号法名が書かれた和紙が届くので、それを法名軸として仕上げます。
全て住職が手配してくれることもあれば、院号法名を渡され、法名軸にするのは自分で仏壇店へ行って頼んでください、というお寺もあります。
法名軸にはサイズがあるので、家の仏壇のサイズを確認し、どの大きさの法名軸を掛けられるか住職や葬儀社の方と打ち合わせをしましょう。
【院号法名を頼んだ場合】のフローチャート
院号はいらない!法名だけで十分!
本来、院号は生前にお寺の発展に尽力された方や寄付をした方がもらえるものでした。
しかし、多くの方は亡くなってから法名をいただくので、その時【院号】を付ける付けないの選択を迫られます。
巷では、
「院号を付けないとみすぼらしい」
「付けないとお寺にいやな顔をさせる」
などと言う噂がありますが、院号は付けなくてもいいです。
実は、法名さえいただければ何の問題もありません。
私の祖父も祖母も法名のみです(私の家計はお東です)。
法名をいただくのは無料としていますが、ほとんどの方はお布施という形で3万~10万円のを包んでいます。
法名を書いた用紙をいただいたら、自分で仏壇店へ行き、法名軸を選び、書いてもらいます。
住職が法名軸を用意してくれる場合もあるので、その住職のやり方を聞いてみましょう。
法名軸にはサイズがあるので、家の仏壇のサイズを確認し、どの大きさの法名軸を掛けられるか住職や葬儀社、仏壇店の方と打ち合わせをしましょう。
【院号法名を頼まない場合】のフローチャート
【最安の方法?】法名をネットで頼み、法名軸に直接書いてもらう
2020年のコロナ禍を受け、葬儀の簡略化、延期、中止が増えてきました。
そんな中【直葬】を選択させる方も増えてきています。
直葬とは、通夜告別式をせず、火葬のみを行うことです。
その場合、仏教的な儀式を行わないので住職から法名をいただく機会がないので、ここはインターネットを利用してはいかがでしょうか?定額で「法名、又は院号法名」を付けて貰えます。
しかも、故人の名前や性格、趣味趣向を考慮して字をあててもらえます。
法名をもらったら、仏壇店へ行き法名軸を選びます。
サイズを確認するのを忘れないようにしましょう。
店員へ法名を伝え、法名軸に直接書いてもらいます。
たいていは手書きで書くことになりますが、機械を使って印刷する所もあります。
実は、この方法が一番安く法名軸を作ることができます。
金額が曖昧なお布施が必要ないからです。
しかも、今後お寺との付き合いを遠慮したい方にも都合がいいです。
お寺から法名をいただく場合、檀家になるよう言われることがあります。
そんなことも、この方法ならありません。
ただ、デメリットとして、周囲の理解を得難いことがあります。
そこをクリアできれば、一つの選択肢として十分【有り】ではないでしょうか。
【ネットで法名(院号法名)を頼む場合】のフローチャート
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他にもあります、法名の受け取り方。
法名をもらう代表的な手順を紹介しましたが、この他にもその地域独自のやり方があったり、各寺院の方針があります。
住職の話を聞いていて「思ってたのと違う」と感じたら、きちんと質問をしておきましょう。
聞きにくいとは思いますが、
「友人からこんなやり方を聞いたのですが・・・どうでしょうか?」と切り出すと話しやすいかと思います。
法名軸の種類
仏壇店で法名軸を買う場合、色・形の違い、安いものから本金を使った高額なものまで色々あるので詳しく紹介したいと思います。
法名軸を作っているメーカーは多く、それぞれ大きさや形が異なります。
私の会社で取り扱っている法名軸になりますが、紹介したいと思います。
法名軸の形状は、2種類から選べます。
軸仕立て(本尊仕立てとも言う)
白い紙(本紙)の部分が阿弥陀様や脇侍と同じ大きさ、仕立てになっている法名軸。
法名仕立て
表装の柄は宗派でちがいがあります。
紋入りの表装
本願寺派(お西)には、中縁、外縁に「五七の桐」と「下り藤」の宗紋が刺繍してあります。
大谷派(お東)には、「抱き牡丹」と「八つ藤」の宗紋が入ります。
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紋なしの表装
中縁は雲模様になり、外縁には蓮の刺繍がしてあります。
宗派を問わずに掛けられるので、西東以外の仏光寺派や木辺派などに使われます。
※高田派は位牌を使用します。
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材質によっても値段が変わります。
先程の写真のものは全て「金襴」と呼ばれるもので、その中にも【上金】【本金】と分かれます。
【上金】とは、代用金(真鍮)でできた糸で柄を織ったものです。
見た目は本金のようですが、時間が経つと黒く変色していきます。
真鍮を使っているので変色は避けられません。
しかし値段もお手頃で、ほとんどの方はこの【上金】を選ばれます。
30代の大きさで2~3千円が相場です。
メーカーによっては【新金】【中金】と表記したりしますが、その違いはわかりません。
ちなみに【本金】は上金の数倍します。
【本金】はその名のとおり本物の金でできた糸で刺繍したものです。
輝きも強く、その輝きも長い間続きます。
先程も言いましたが、かなり高額になるので、予算との相談になるかと思います。
最近ではモダン仏壇に合うような表装をした掛け軸もあります。
その他にも、マジックテープで直接仏壇に貼ることができるものや、掛けるのではなく、置いて飾る【置き軸】もあります。
法名軸の大きさは、「○○代」で表記します
20代から200代という大きさがあります。
最近では20代より小さい、「豆代」「極豆」というサイズもあり、上置仏壇にも飾れるようになっています。
○○代という単位は、仏壇のサイズを○○代と呼んでいた頃、その仏壇にちょうど飾れるサイズの掛軸も同じ単位にしていた名残りです。
例えば、「50代の仏壇には50代の掛軸を」、「100代なら100代の掛軸」ということです。
あるメーカーの掛軸の寸法表です。探す時の参考にしてください。
掛軸の表記 | 総丈 | 総巾(軸巾) |
極豆 | 19cm | 8.5cm |
豆代 | 21cm | 10cm |
20代 | 24cm | 11cm |
30代 | 26cm | 13cm |
50代 | 32cm | 14cm |
60代 | 37cm | 15cm |
70代 | 41cm | 18cm |
100代 | 45cm | 21cm |
120代 | 55cm | 22cm |
150代 | 62cm | 25cm |
200代 | 77cm | 33cm |
法名軸を掛ける場所
仏壇に向かって内部の右側面に掛けます。
次に亡くなった方がいた場合は、掛かっていた軸を左側面に掛け、新しいほうを右側面に掛けます。
後々掛ける場所がなくなったときは、回出位牌や過去帳を使ってもいいです。
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過去帳についてはこちらで詳しく紹介しています。
法名軸を掛けるのに便利な仏具
画鋲で留めてもいいのですが、せっかくなのでいくつか紹介します。
アルミ製掛軸押さえ
お西用の【下り藤】とお東用の【八つ藤】その他宗派用の【法輪】の3種類があります。
用途は画鋲と同じですが、見た目がお洒落になります。
1こ200円~です。
掛け軸用紋鋲(掛軸押さえ) フックは不要 八つ藤【真宗大谷派】
掛け軸用紋鋲(掛軸押さえ) フックを付ける 輪宝紋【真宗大谷派以外】
掛軸台
仏壇に穴を開けたくない方には【掛軸台】がオススメです。
これを使えば仏壇の中に置くだけですので取り付けも楽になります。
棒の部分を伸ばしたり縮めたりできるので、仏壇に合わせて高さ調整できます。
掛軸に合わせてサイズも各種あります。
法名軸をやめて位牌を飾りたいけど、いい?
身近な方が亡くなるまで、自分の宗派も知らず、実は法名軸を掛けると知った時はびっくりするでしょう。
仏教は、死んだら位牌を置くもの、と思っている方がたくさんいます。
浄土真宗は必ず法名軸にしなければいけない、というわけではありません。
推奨はされませんが、位牌を置いても構いません。
ただ、「故人を偲ぶための対象物」という位置づけになります。
故人を偲ぶために位牌が欲しいというのは自然な感情です。
何かしらの形があったほうが故人を強く想うことができるという意見もあります。
本位牌とは違いますが、浄土真宗でも使われているのに【回出位牌】というものがあります。
札板部分が箱型になっていて、中に板が数枚入っています。
法要の時、命日の方の板を手前にして法要をします。
種類も多いので、気になる方は探してみてはどうでしょうか。
サイズの選び方としては、ご本尊より大きくならないようにします。
これは本位牌の考え方と同じです。
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まとめ
法名に「院号」をつけるには、本山へ依頼する必要があります。
菩提寺の住職に相談しましょう。
菩提寺のない方はネットを利用してみましょう。
院号をつけてくれるサイトがあります。
院号はつけなくても問題ありません。
その場合の法名は、男性3文字、女性4文字が一般的です。
法名軸には安いものから、本金を使用した高額なものまであります。
予算に応じて選んでください。
どの大きさを選んでいいかわからないときは、住職や仏壇店に相談しましょう。