仏壇で使う香炉には色々な種類があります。
宗派の違いで使う香炉が変わるので、間違えて購入することがないよう、少し調べておきましょう。
また、香炉に不可欠な灰についても少し紹介しています。
【香炉の形】や【宗派別による香炉のちがい】を紹介
よく使われる香炉だけでもこんな種類があります。
●透かし香炉
●玉香炉
●机上香炉
●角香炉
●火舎香炉
●焼香用の香炉
先に赤字の香炉の詳しい解説をしていこうと思います。
この4種類は用途が同じで、
中に灰を入れ、線香を立てたりするために使用する香炉です。
あなたの宗派は何でしょう?
自分の宗派のところだけでもいいので目を通しておいてください。
浄土真宗大谷派(お東)では、【透かし香炉】を使います
陶器でできた青磁色の香炉です。その名の通り、横に「透かし」が入っていて手が込んでいます。
このままだと入れた灰がすき間からドバーッとこぼれてしまうので、【落とし】と呼ばれる内ガマがセットになっています。
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【差し金入り】と言って、透かしに金で模様が書いてあるものもありますが、どちらを使っても構いません。好みです。
三本足がついていて、正面に1本だけ足がくるように置きましょう。
浄土真宗本願寺派(お西)では、【玉香炉(たまこうろ)】を使います
こちらも陶器でできていて青磁色をしています。丸みがあり、ツルンとしています。
宗紋の下り藤が金で装飾してあるものもあります。
その場合は、紋が正面にくるように置きます。
無地の時は透かし香炉と同様、正面に1本の足がくるように置きます。
浄土真宗系以外で使うのは【机上香炉(きじょうこうろ)】です
【前香炉】とも呼ばれている机上香炉は、浄土真宗系以外の宗派で使う香炉になります。
陶器でできていて、青磁、白、メッキなど、種類が多いのが特徴です。
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色々な宗派で使えるので、それぞれの仏壇に合わせることができるように種類が増えたんだと思います。
このタイプの香炉は、銅器でできたものもあります。
角香炉(かくこうろ)
長方形をしていて線香を寝かせて使うために便利な形になっています。
線香の焚き方も宗派で違いがあります
浄土真宗系(お西、お東など)は線香を半分程度折り(5cmくらい)、火を焚いて灰の上に寝かせて使用します。
その他の宗派では、灰に差して、立たせておきます。
・臨済宗・曹洞宗・浄土宗・・・線香は1本
・真言宗・天台宗・・・・・・・線香は3本
※地域によっては違うかもしれません。ご注意ください。
火舎香炉(かしゃごうろ)はお香を焚くのに使います
先ほどの4種類の香炉と違う使い方をするのが火舎香炉です。
この香炉は浄土真宗系で使います。
真鍮や銅でできていて、置く場所は本尊の前になります。
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使い方ですが、中に灰を8分目ほど入れ、その上に炭を置き、焼香(しょうこう)と言われる粒々のお香を焚きます。
伝統的な仏壇には必ずと言っていいほど付いていましたが、モダン仏壇や上置き仏壇には置く場所がないので、省略することが多いです。
置けても、火を使わず飾りとして置く場合がほとんどです。
この火舎香炉は単品で使用することはほぼなく、たいてい華鋲とセットで設置します。
焼香用の角香炉(廻し香炉)
こちらは法事などで使うための香炉です。
お焼香をするとき、わざわざ立ち上がって仏前に行かなくても良く、
この香炉を手元に回してもらい、その場でお焼香することができる便利グッズです。
右側のフタ付きのほうにお香を入れ、左側の鉄のオトシが付いた方に灰を敷き、炭を焚きます。
この仏具は、狭い部屋や人数が多い場合に活躍します。
仏壇に合わせた香炉の選び方
香炉を探している人のほとんどが、もう仏壇をお持ちだと思います。
その仏壇の大きさとバランスの取れたサイズの香炉を選んでいきましょう。
ただ、大きさの感覚は人それぞれのセンスですので、あくまで私の経験からの提案となります。
今回は小型の仏壇に特化した寸法表にしてみました。
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※ロウソク立ては、小型の上置き仏壇ということを踏まえ、あえて小さめにしてあります。
詳しくは【ロウソク立て】のページで説明しています。
※上置き仏壇のための寸法です。伝統型や台付の仏壇はこの限りではありません。
※あくまで個人的な目安寸法です。
花立についてはこちらの【花立とは】のページで詳しく解説しています。
もっと小さい香炉はありますが、あんまり小さいと使い勝手が悪いです。
灰がこぼれたり、線香の燃えカスが仏壇に落ちたりします。
なのでちょっと大きめの3寸からを個人的にオススメしています。
香炉の中に入れる灰の紹介
今更ですが、香炉に灰を入れないと線香が立てられません。
香炉といっしょに灰も準備をしましょう。
灰にも昔からある、いわゆる藁灰やモミ灰から、何度も洗って繰り返し使える香炉石というものがあります。
藁灰やモミ灰はどこの仏壇店でも手に入れることができます。
安いものでは200円程度で買えるでしょう。
安いというメリットがある一方、少しの風で舞い上がってしまい、掃除が大変というデメリットもあります。
このデメリットを解消したものが、香炉石です。
値段は藁灰に比べると高くなりますが、洗って何度も使える商品もあり、コスパはいいです。
カラフルで種類も多いため、モダン仏壇などでは香炉石を選ぶ人が増えています。
ただ、中には洗えないものがあったりします。
また、線香を寝かせて焚くことができないものが多いので、よく確認しましょう。
↓yagiken(八木研)は老舗メーカーです。こちらの商品は昔から定番品として人気です。
燃えカスのお手入れ方法
線香を焚けばどうしても燃えカスが溜まっていきます。その時は、燃えカスを取り除いてきれいにしましょう。
こんな便利な道具があります。
・網付き灰ならし
・灰ふるい器
このような道具を使わずとも、大きな燃えカスは「茶こし」などでこしてしまえばきれいになります。
しかし、周りに灰が飛ぶので、風がない所や、新聞紙を部屋いっぱいに敷いてからお掃除をしましょう。
火を使うのが心配な時は・・・・
今、主流になっているモダン仏壇や家具調仏壇は小さいものになっています。
線香やお香を焚く場合、火が近いので心配でしょう。
火が消えるまでその場で見ていれば問題ないのですが、そうジッとしているわけにもいかないと思います。
そんな時は、電池式のお線香を使ってみてはどうでしょうか?
火事の心配はなくなります。
また、線香の煙で仏壇が汚れることもないです。
匂いが服に移ることもありません。
法事などの大切な行事の時は、きちんと線香を焚いて、日常使いでは電池式のお線香を使う・・・、と使い分けしてみてはどうでしょうか?
少し手を抜いたとしても、お線香をあげる気持ちさえ持っていれば、仏様もご先祖様も微笑んでくれるでしょう。
まとめ
仏具の香炉は、どの宗派においても重要な仏具の一つです。
宗派によって使う香炉が違ったりと、種類も多いです。
購入を決める前に相談できる人が近くにいれば、話を聞いてみましょう。
仏壇店に足を運ぶのもいいと思います。
「しまった!」「思ってたのと違う!!」とならないように気を付けましょう。
香炉は単品で買ってもいいですが、花立、ロウソク立て(火立て)とセットで買いそろえる場合が多いです。(いわゆる3具足です)
オシャレでモダンなセットも多数あるので、少し時間をかけて探してみるといい出会いがあるはずです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。