本尊は、仏壇の中心に祀る大切な存在です
御本尊は仏壇の基本中の基本になります。
仏壇はお寺を模したものです。
なので、お寺と同様、仏壇にとって一番大事なのは、信仰対象の仏様ということです。
どんなに仏壇の形が変わっても、仏具の数を減らしたとしても、【本尊がなければ、もはや仏壇とは言えません。】
なぜかというと、手を合わせる対象は【本尊】だからです。
「位牌は?」と思われる方もみえると思いますが、本尊(お釈迦様や大日如来)の元へ旅立ったのが故人であり、故人の魂の依代(よりしろ)が位牌です。
上下関係といっては語弊がありますが、仏様がいてこその位牌となるのです。
宗派によって本尊は違います。
仏教にもいくつか宗派かあり、考え方や理想がちょっとずつ違います。
そのため、「私達は阿弥陀様を本尊に。」「私たちの本尊は大日如来です。」など、主流の仏教は平安時代から江戸時代にかけて様々な宗派に分かれていきました。
本尊の形は木像?掛軸?それとも・・・!?
「大切なのは本尊である」ということはわかっていただけたと思います。
では、本尊には、どのようなものがあるのか紹介します。
本尊の形には、木像(3D)か掛軸(2D)の二種類があります。
木像にも掛軸にも種類が多くあります。
その中から、あなたにオススメの本尊はどれか、わかりやすく比較していこうと思います。
オススメの本尊は?徹底比較
仏壇仏具の卸問屋に勤めて10年以上経ちますが、この比較は本当に難しいです。
なぜかというと、ほとんどの方は仏壇を決めてから本尊の選択をすることになるからです。
そうすると、何が起こるかというと、「入らない」「似合わない」さらに「本尊に使う予算がない」となります。
仏壇を買う場合、「仏具付き」というお店や、モダン仏壇に似合う「モダン仏具のセット」を進めてくるお店があります。
こういった場合でも、本尊は別売りということが多いです。
それだけ価格差が大きいからです。
逆に本尊も含んだ値段を提示された場合は、よほどいい仏壇でない限り安い掛軸が付いてきます。
話がそれてしまいました。
本題に入りたいと思います。
最後に私のオススメも紹介しますので、最後までご覧ください。
ご自身の宗派を知らない人へ
「俺は無宗派だ」と自信を持っていうのなら別ですが、日本人のおよそ67%※が仏教徒といわれています。
※「文化庁宗教統計調査2018年12月31日現在」から算出
この数字が本当に合っているかどうかは疑問ではありますが、本人に自覚がなくても、
「親が○○宗だった。」
「親戚一同○○宗らしい」
ということを、親が亡くなって初めて知ることになる場合が多いです。
その時は、素直に○○宗式で葬儀を執り行いましょう。
親の葬儀ですからね。
もし自分の時に親と同じ宗派は嫌だというなら、宗教について勉強しましょう。
宗教の自由は保障されているので、どこにしても構いません。
なので、自分の葬儀の時は△△宗で頼む、と周りに言っておくといいでしょう。
宗教を意識するのは日本人のほとんどが葬儀の時と仏壇を買う時くらいです。
こだわりがなければ親と同じでいいと思います。
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私は浄土真宗大谷派(お東)です。
名古屋はお東が多い地域です。
この仕事に就くまで、我が家の宗派を知りませんでした。
他の方たちもこんな感じだと思います。
話が脱線してしまいました。
今回比較のために選んだ、本尊7種類です。
本尊の種類 | コメント |
中七 | プラスチックで成形した仏像。全体を箔で押してある |
京型 | 木材を主材としており、箔押ししてある。細部まで豪華な造り |
桧 | 木像の中では一番安価な木材。木目が目立つ |
柘植 | 薄い黄色をしていて、硬い材質が特徴 |
白檀 | 希少な木材。独特な香りが人気 |
本山からもらい受ける掛軸 | 本山からいただくことによる付加価値 |
どこでも買える掛軸 | 種類もおおく、価格もピンキリ |
比較的手に入りやすいもの7種類に絞りました。
木像では5種類、掛軸は2種類を比較してみます。
中七の仏像
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中七(ちゅうひち)とは、金型にプラスチックを流し込み、金箔を押して仕上げたものです。
彫り込んで作るものではないので、全ての箇所のエッジに丸みがあります。
材料費も安く、大量生産できるので、安価で手に入ります。
ただ、職人が減ってきているので、昔の様にとび抜けて安くとはいかなくなりました。
木製の中七というのもありますが、今回はプラスチック製に絞ります。
京型の仏像
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京型とは、木材で仏や台座を彫り、漆またはカシュー塗料で塗装し、金箔を押して仕上げていきます。
中七とは違い、全てにエッジが利いていて、顔の表情も美しいものが多いです。
本尊のみ白檀にして、台座は京型を使用したりと、組み合わせて飾る人もみえます。
「玉眼入り」や「袖割り」といった工法もあり、京形の中でも値段が変わってきます。
桧の仏像
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桧とは、塗装も何もせず、生地本来の色を生かした造りの木像です。
桧は柔らかい木材なので加工がしやすいのが特徴です。
木地タイプの中では一番お値打ちとなります。
デメリットとして、部位により木目が目立つことです。
顔に縦線の大きな木目があったりすると凹みます。
柘植の仏像
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柘植(つげ)とは、黄楊とも書き、字のごとく薄い黄色をしています。
表面はきめ細かく、硬い木材です。
なので細部のエッジをしっかり出すことができます。
そのため立体感が増し、より美しさが際立ちます。
私のオススメは、この柘植の木像です。
なぜかは、後程くわしく。
白檀の仏像
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白檀とは、希少な木材で、特有な香りがします。
昔から、お香の材料として親しまれていました。
色は褐色で、木目もほぼなく、硬い木質になります。
木も育ちにくく、時間がかかるので、大きい仏像ほど値段がグンッと上がっていきます。
本山からもらい受ける掛軸
「本山からもらう掛軸」とは、本山のお墨付きの掛け軸のことです。
菩提寺に依頼して、本山から掛軸を取り寄せてもらいます。
一般の仏壇店では手に入りません。
ただ、高いです。
どこでも買える掛軸
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大きさにもよりますが、小さいものなら千円程度で買えてしまうものもあります。
メーカーによって絵像の雰囲気も違うので、一番しっくりくるものを探してみるといいでしょう。
表装に本金を使っているものは、ググーンと値段が上がります。
モダン仏壇に合わせるような表装の色もあります。
また、スタンドタイプと言って、立つ掛軸もあり、最近種類も増え、人気があります。
私のオススメは柘植の仏像です。理由は3つ。
この中から選べと言われたら、【木像の柘植】をオススメします。
なぜかというと、
・桧より見た目が綺麗
・白檀より値段が手頃
・掛軸にはない木像の存在感
この3点から、柘植をオススメします。
具体的に言うと、「柘植 八角台 金泥書」です。
宗派によって立弥陀や座釈迦になるので、ハッキリと言えませんが、柘植の仏に金泥書きが施してある、八角台座のものがオススメです。
八角台座では予算オーバーの時は【丸台】。
背の高さが物足りない時は【六角台】でもいいかと思います。
柘植は薄いクリーム色をしていて、シミ一つなく、木目も少ないので仏壇にとても映えます。
「インスタ映え」ならぬ、「仏壇映え」というやつです。
上からのダウンライトに照らされた姿は、本当に心から手を合わせたくなります。
金泥書きにしたのはアクセントです。
立体感が増します。
金泥書きとは、仏本体の衣に金で模様を書くこと。
最上品には切金(きりがね)が装飾してあります。
脇侍は掛け軸でもいいので、本尊だけでも木像にすると、仏壇の見栄えがとても変わります。
同じ柘植でも、高額の物からお値打ちなものまでたくさんあるので、予算に合わせて探してみてください。
まとめ
本尊は信仰の対象となります。
仏壇選びも大切ですが、手を合わせる本尊も大切です。
いろいろ比較検討しながら、自分に、そして故人に一番の本尊を探してください。
私のオススメは「柘植の金泥書き 八角台座」です。
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