日差しが温かくなり、新緑の頃を迎える時期から考えていただきたいのが【盆提灯】です。
まだまだ、お盆は先のことだから、と思っているとあっという間に夏になってしまいます。
「盆提灯を飾る必要があるのか?」
と、たまに聞かれますが、
どんな形でもいいので飾っていただきたいと思っています。
(飾らなくていい宗派もあります)
そうは言っても、昨今の住宅環境では大きい提灯は難しいと思います。
実際、私もマンション暮らしで、大きい提灯を入れるスペースはありません。
しかし、最近の提灯は小型のものや、モダン仏壇に調和するよう作られたものも多数そろっています。
仏具問屋へ勤めて10年以上経つ私が、
提灯の【購入時期】から【種類別のオススメ】まで、わかりやすくご紹介したいと思います。
よろしくお願いします。
盆提灯の種類
新盆(にいぼん)の翌年から使う提灯を【盆提灯】と言います。
いろいろな種類があり、何を選べばいいのか悩まれるかもしれません。
・3本足の行灯
・吊り提灯
大まかにいうと、この3タイプに分けることができます。
結論から言うと、何を選んでもいいです。
お気に入りの柄や形があればそれにしましょう。
その上で、ある程度どんなものがあるのかを知っておくと、より早く、目的の物を見つけることができるはずです。
亡くなった方の四十九日後に初めて迎えるお盆のことです。
新盆の時のみ使う提灯があるので、のち程ご紹介します。
モダン仏壇や小さな仏壇に合い、インテリアとしても使えるタイプ
より小型化し、洋間やモダンな仏壇にも合わせやすい提灯が増えています。
「円柱のガラスにオイルをいれ、その中にブリザーブドフラワーを飾り、ライトで照らす行灯型。」
「行灯の周りを竹細工で囲い、涼しさと懐かしさを演出した行灯。」
「七色に光る電池タイプのもの」
一見、盆提灯とは思えないデザイン性と斬新なアイデア。
少し探しただけでもこのようなおしゃれな盆提灯が見つかります。
サイズも全長が16cmと、仏壇の中に入ってしまうものから、全長50センチ近くあるタイプのものまで様々あり、必ずお気に入りが見つかることでしょう。
昔からある行灯タイプ。しかし進化形もあります。
盆提灯と聞いて、この形を想像する人が一番多いのではないかと思います。
足3本で立ち、火袋に花柄や風景が描かれているタイプです。
この形を「大内行灯(おおうちあんどん)」とよんでいます。
足などの骨格に、プラスチックや木材(黒檀・紫檀など)を使っています。
材質によって値段が変わってきます。
「材質がプラスチックで、火袋内の風車が回転するタイプ」が一番お値打ちになっています。
また、火袋の材質に、紙や絹を使うことでも値段が変わるので、盆提灯の中でも種類が一番多くなっています。
サイズも、全長50cm程度から、90cmと大型のものまであります。
提灯は、家紋を火袋に書くこともできたりします。
家紋入りの場合は、「手書き」か「カッティングシート」の2パターンで選択できます。
なんにしても特注ですので、製作期間が必要となります。
早めに注文しましょう。
この足3本タイプも進化していて、見た目は同じなのですが、組み立てが簡単な「マグネット接続式」という商品が有ります。
従来の物は、組み立てが難しく、接続部が割れてしまったり、無理やり穴にねじ込んだら取れなくなった、という事例が多くありました。
実際、私もお客さんのお宅で組み立てていた時、嚙み合わせが悪く、
一度持ち帰って直したことがあります。
来年はこれをお客さん自身が組み立てるのを想像すると、
何だか心配になった記憶があります。
組立自体は簡単なのですが、
年に一回しか出さないので、誰だって忘れてしまうでしょう。
ご高齢になれば尚更です。
使い終わって片付けるときの注意点
丁寧に元の箱の中に戻しましょう。
その時、防虫剤を入れておくと火袋を虫から守ることができます。
どうしまってあったのか確認できるので、写真があると便利です。
印刷して箱に入れておくと尚よいかと思います。
私は苦労しましたが、最新の「マグネット接続式」はこの様な苦労をせず、パチッパチッと磁石で引っ付くようになっているので、簡単に、素早く取り付けが可能になります。
また、小さいタイプには足が組立て済みで火袋を取り付けるだけの商品もあります。
便利なものが色々出ているので、探してみてはいかがでしょうか。
吊り提灯の形は3種類あります
吊り提灯とは、提灯下げスタンドや長押(なげし)に取り付けられる吊り下げ金具を使い、吊り下げて飾る提灯のことです。
このタイプには、御所提灯(岐阜提灯とも)や、御殿丸、住吉提灯が代表的なものとなります。
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①御所提灯の火袋の形は、上が広く下にすぼんでいくようになっています。
②御殿丸は、ほぼ丸型になります。
③住吉提灯は円筒形をしています。
吊り下げ提灯の大きさ(全長)は、「一番上から下にぶら下がっている房の先まで」としている場合と、「上輪から下輪までの長さ」にしているメーカーが有ります。
よく確認しておきましょう。
盆提灯の選び方
行灯タイプでも吊り下げタイプでも、
お好きなものを用意してかまいません。
置くスペースや、部屋に合わせて選んでみましょう。
スペースがなければ吊り提灯。
長押(なげし)もない洋間でしたら、インテリア風の小さい行灯タイプがいいかと思います。
2021年おすすめ提灯を【種類別ランキング】でご紹介!
種類別でおすすめランキングを作りました。
今回のランキングは、
私の【売上実績】【問い合わせ件数】【コスパ】【趣向】などを考慮して作成しています。
モダン仏壇、上置仏壇に合うサイズのランクインが多くなりました。
最近の売り上げ傾向を見ても、大型のものより小型のものが売れています。
インテリア提灯(創作提灯) おすすめランキング
1位 糸車(蓮華)
全長24cmと小さいので、小型のモダン仏壇の横においてもいいですし、
膳引きの上にのせてもいいかと思います。
淡いピンクの光が優しく、なごみます。
2位 葵(小)黒つや消し
表と裏の絵柄が違うので、お好みで使い分けできます。
外枠の色や絵柄が違う商品もあり、バリエーションが豊富です。
3位 やすらぎの灯り 水明華 1号 ショート
ブリザーブドフラワーを使った新しい形の行灯です。
下からのライトアップは幻想的で、仏壇が栄えます。
外の筒を外せばインテリアとしても可。
4位 こもれび 桜調 コードレス
火袋に美濃和紙を使用し、コードレスタイプで1対入り。
コスパ最強です。
1対でこの値段は破格。
コードがないので、どこにでも置けて便利です。
5位 竹彩1号タメ 回転付
古き良き伝統と、現代モダンを併せ持ったような形です。
他にも、枠が白木で七色に光るタイプもあります。
小型の塗仏壇との相性バッチリ。
3本足の行灯タイプ おすすめランキング
1位 彩8号 サクラ色塗 ワンタッチ式
マグネットを使ったワンタッチ式タイプ。
組立、片付けが楽々です。
全長56cmと、この形にしては小型で、モダン仏壇に合わせてもOKです。
2位 銘木行灯 4号初音ワイン
全長35cmと、このタイプでは最小クラス。
「組立済み」なので、箱から出してすぐ使えます。
火袋は絹製となり、ビニロン紙より耐久性がいいです。
3位 迎光 1号 ケヤキ色塗 電池式LED
伝統の形を残しつつ、新しさも取り入れたデザイン。
足の部分が組み立て済みなので、組み立てに迷うことがありません。
全長41㎝なので、上置き仏壇の横に並べて飾れます。
吊り提灯タイプ おすすめランキング
1位 飾り和灯 芙蓉 吊り下げ台付 電池式LED
専用台も付属しているので、他に部品を買い足す必要がありません。
2位 御所提灯 LEDローソク電池灯 高さ40cm火袋径28cm蒔絵模様
「安いのが一番だわ」と言う方はこちら。
枠は無地なので派手さはなく、落ち着いた雰囲気になります。
火袋が悪くなったら、買い替えを検討しやすいお値段です。
3位 御殿丸 尺一 小菊茶ボカシ 電池式LED
昔からある大きさ。
火袋の絵柄はたくさんの小菊が描かれています。
下部にはボカシが入り、きれいなグラデーションとなっています。
番外編(ペット用提灯)
京竹 流れ桜 白木
画像データを送ると、本体に写真が印刷されたオリジナルの提灯が届きます。
家族の一員であったペットの思い出を、いつまでも大切に残しておけます。
他にも様々な形のものが作られています。
一昔前までは考えられなかった商品です。
盆提灯はどこで買えるの?
今ではインターネットから探して買うことができます。
また、仏壇店はもちろん、大型ショッピングモールや、ホームセンターなどでも取り扱っています。
ただ、季節商品ですので、5月~8月のお盆までしか展示してない店が多いです。
生産数も決まっているので、「無くなり次第販売終了」としているメーカーがほとんどではないでしょうか。
なので、気に入ったものがあればなるべく早く購入しておくことをおすすめします。
「なくなったら廃盤」という商品もあるので。
買う時期のおすすめは5~7月上旬です。
この時期ならメーカー在庫も多く、品切れが少ないからです。
いつから盆提灯を出すの?
お盆は8月13日から16日の4日間なので、12日までには用意しておきましょう。
早い分には問題ありません。
ただ、7月にお盆を行う地域もあるので、確認しておきましょう。
浄土真宗ではお盆飾りをしないってホント?
本当です。
浄土真宗の教えでは、亡くなった方はみんな仏に生まれ変わるとされているためです。
なので、お盆で改めて供養する必要はないという考えです。
ただ、地域の風習でお盆行事を行うところもあります。
新盆とはなんですか?
新盆(にいぼん)、初盆(はつぼん)とも言われ、
亡くなった方の四十九日後に初めて迎えるお盆のことです。
新盆のときだけ使う提灯の話
白提灯、白紋天と呼ばれる、骨組みが白木で作られた提灯です。
澄んだ心でお迎えしますよ、
という意味があるようですが、真偽は不明。
玄関の前に吊るしておくのが理想ですが、難しい場合は、窓際や、仏壇の近くに飾る様にしましょう。
使い終わったらお寺でお焚き上げしていただきます。
塩で清めて、ご自宅で処分しても構いません。
お盆に提灯を飾るのは【灯台の明かり】と同じ
暑い夏を迎えると、仏壇の横に提灯が飾られている風景を思い出す方が多いのではないでしょうか。
そもそもなんでお盆になると提灯を飾るのでしょうか。
それはご先祖様や故人が迷わず家に帰ってこられるよう、明かりをともしたことが始まりとされています。
港の灯台のようですね。
ただ、昼に帰ってくるご先祖様もみえると思うので、
期間中は昼間も明かりをつけておいてあげましょう。
就寝時は火災予防の観点から、消しておいたほうがいいかもしれません。
最近は昔と違って、電球を使っているのでよっぽど安全かと思いますが、念のため。
提灯を解体してみました
火袋に穴が開いて使えない吊り提灯があったので、後学のため解体してみました。
商品はコチラです。
では、
➀改めて、商品の紹介です。
【尺二丸佐和田けやき】
絹二重張の家紋入り提灯です。
「絹二重張」とは、絹製の火袋の中にさらにもう一つ火袋が入っているものを言います。
上の火袋から中の火袋がぼんやり透けて見えて、上品な印象が出ます。
火袋の直径は36cm、長さは40cmになります。
「80時間点灯ローソク電池灯」が初めから付属品として付いてきます。
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②下輪を取り外します
割りピンで止めてあるだけに見えたので簡単に外せると思ったのですが、意外と硬かったです。
原因は火袋と上輪のすき間を埋めるように入っていたボール紙でした。
③同じように上輪を取ります
下輪と同じく、しっかり固定させる為すき間にボール紙が入っていました。
④二重になっている火袋の内部のほうを抜く
最初、どうやって取り出せばいいか悩みました。
結果30秒後、強引に引っ張りだすことになるのでした。
火袋の骨は柔らかいので、折れることもなく曲がります。
骨の材質は正確にはわかりませんが、弾性の有るプラスチックのようでした。
⑤内部の提灯(家紋入り)
内側の火袋は紙製です。
手書きで家紋(丸に橘)が上手に描いてありました。
⑥外側の火袋がコチラ
1枚の紙と違い描きにくいと思いますが、さすが職人さんです。
丁寧に描かれています。
⑦吊り提灯の材料(房・手板は除く)
まとめ
盆提灯とは、
御先祖様や故人に、安らかに成仏してほしいという想いと、今までの感謝の気持ちを表したものです。
地域ごとにお盆の時期や迎え方は違いますが、
家族や親族が集まり、にぎやかに過ごすことで、故人も安心されるのではないでしょうか?
新盆の時のみ【白木の提灯】を使います。
翌年からは火袋に絵柄が入った盆提灯を毎年使います。
種類も多くあり、
洋間に合うモダンなタイプ、昔からある3本足のタイプ、吊るすタイプがあります。
お家に合わせ、好みで選んで構いません。
季節商品ですので5~7月までに購入することをおすすめします。