瓔珞(ようらく)とは?
瓔珞とは主に、大きめの金仏壇や唐木仏壇に飾ります。
仏壇内部の天井や宮殿に取り付けるので、小型仏壇には入るスペースがありません。
なので、最近主流となりつつある上置タイプの仏壇には瓔珞を省略することが多いです。
瓔珞の本来の意味は、身に着ける装飾具でしたが、仏壇飾りとして形を変え使用されるようになりました。
菩薩や密教の仏の装身具、または仏堂・仏壇の荘厳具のひとつ。 サンスクリットのムクターハーラ(muktāhāra)、ハーラ(hāra)、ケーユーラ(keyūra)などの訳語。
古くはインドの貴族の装身具として用いられていたものが、仏教に取り入れられたもので、菩薩以下の仏像に首飾り、胸飾りとしてもちいられている。菩薩像に用いられる瓔珞は通常の装身具としての瓔珞が多いが、一部の像には髑髏や蛇などが用いられることがある。また、瓔珞は寺院や仏壇など天蓋などの荘厳具として用いられることがある。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用
瓔珞の種類
瓔珞は宗派によって、【隅(すみ)瓔珞】や【錀灯(りんとう)瓔珞】を使います。
隅瓔珞・・・・・浄土真宗大谷派(お東)以外が使用します。
錀灯瓔珞・・・・浄土真宗大谷派(お東)だけが使用します。
お東だけが輪灯瓔珞を使うと覚えておくといいでしょう。
では、ほとんどの宗派で飾る【隅瓔珞】から紹介していきます。
隅瓔珞とは
浄土真宗本願寺派(お西)、浄土宗、天台宗、真言宗、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗などの、浄土真宗大谷派(お東)以外の宗派で使われる飾り仏具です。
「角瓔珞」「角下がり」と表記するメーカーもあります。
隅瓔珞の飾り方
仏壇内部の宮殿の屋根や、天井の格子にヒートンを取り付け、そこにぶら下げて飾ります。
ヒートンの代わりに、取り付けが簡単便利な専用クリップもあります。
ただ、天井に格子がないと使えないので、ご注意ください。
隅瓔珞の材質
アルミ製や、真鍮にメッキ加工をしたもの、プラスチックに金箔を押したものの3種類があります。
隅瓔珞のサイズ
サイズの表示は「小」「中」「大」としていたり、「〇段□下がり」としています。
ただ、こう言われてもわからないと思います。
ネットショッピングでは全長が表示されているので、それを参照にしましょう。
仏壇店などに行けば、現物が飾ってあったり、寸法を教えてもらえます。
まずは、ご自身の仏壇に合う隅瓔珞がどの大きさになるのかを確認しましょう。
あるメーカーの【プラスチックに金箔を押した隅瓔珞】のサイズ表です。
参考にしてください。
隅瓔珞(蓮傘瓔珞) | 総丈 | 〇段△下がり |
小 | 18㎝ | 3段7下がり |
中 | 21㎝ | 4段7下がり |
大 | 24㎝ | 5段7下がり |
ぶら下げる箇所(宮殿の軒下、又は仏壇の天井)に定規をあてて、どのくらいの長さの隅瓔珞がベストか調べます。
長すぎて下に置いてある仏具と干渉したり、逆に小さすぎて寸足らずな印象になるのを防ぎましょう。
隅瓔珞の種類
下がりが5本あり、下がりに7個親枠が付いているので、【7段5下がり】をなります。
〇段の数が増える程、全長が長くなります。
下がりの数が多くなれば、見た目が豪華になります。
その分、値段も上がっていきますが。
傘にも、「蓮型」と「丸型」がありますが、用途は同じです。
プラスチック製には、親枠の形に「三ツ枠」「四ツ枠」と二種類あります。
さらに、子枠にも、「鈴」を付けるか、「イチョウ」という平たい飾り物を付けるか選べます。鈴のほうが高額になります。
鈴と言っても、本当にリンリンなるわけではなく、鈴の形をした飾りです。
下は子枠がイチョウのものです。
具体的にいうと、
となります。
アルミ製の蓮傘瓔珞↓
錀灯瓔珞(深傘瓔珞とも)とは
錀灯瓔珞とは、浄土真宗大谷派(お東)で飾られる仏具となります。
深傘(ふかがさ)瓔珞とも呼ばれています。
こちらも、大きい仏壇にしか取り付けは難しいです。
錀灯瓔珞の飾り方
錀灯瓔珞は、お東で使う丸錀灯と連結して飾ります。
つまり、丸錀灯がないと飾れません。
浄土真宗系で使われる灯供養具の一つです。
本願寺派(お西)では、菊錀灯。
大谷派(お東)では、丸錀灯。
高田派は桐錀灯。
仏光寺派は藤錀灯。
宗派により使用する形が異なります。
お東以外は錀灯瓔珞を飾りません。
仏壇の天井の両端にヒートンを取り付け、そこに、瓔珞、錀灯の順に下げていきます。
それなりの重量になるので、ヒートンはしっかりねじ込んでおきましょう。
唐木仏壇だと木材が固いので大変かもしれません。
ドリルであらかじめ穴をあけておくと作業がはかどります。
しかし、この作業は仏壇店の人にお願いした方がいいと思います。
置くだけの仏具と違い、どのバランスが最適かを見ながらの作業なので、プロに任せた方が間違いないです。
失敗すると、穴だらけになってしまいます。
錀灯瓔珞の材質
アルミ製、真鍮にメッキ加工したもの、プラスチックに金箔を押したものの3種類があります。
錀灯瓔珞の各部名称と種類
隅瓔珞と一緒です。
種類も同じく、三ツ枠、四ツ枠があり、子枠にイチョウを付けるか鈴かを選べます。
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錀灯瓔珞のサイズ
錀灯瓔珞は傘の直径が基準寸法になります。
傘が大きくなるにつれ、下がりの数や枠の数が増えていきます。
ただ、大事なのは全長なので、ネットで調べたり、仏壇店に問い合わせて確認しておきましょう。
あるメーカーの、プラスチック製【錀灯瓔珞早見表】を作りました。
一つの参考としてご覧ください。
メーカーにより、寸法に違いがあります。
傘の直径 | 二重 | 総丈 |
3寸 | 7段8下がり | 35.4cm |
3.5寸 | 7段10下がり | 36.4cm |
4寸 | 8段10下がり | 40.6cm |
4.5寸 | 8段12下がり | 41.6cm |
5寸 | 8段14下がり | 42cm |
院玄瓔珞とは
院玄瓔珞とは、院玄灯篭の上に飾る瓔珞のことです。
上部の傘に穴が開いていて、院玄灯篭の電気コードを通せるようになっています。
材質は、アルミ製、真鍮にメッキ加工をしたものが既製品としてあります。
プラスチックに金箔を押したものは特注なので、問い合わせれば対応してくれるでしょう。
幢幡瓔珞とは
ただ「幢幡(どうばん)」と表記してあるときもあります。
アルミ製、真鍮にメッキをしたもの、プラスチックに金箔を押したものがあります。
全長15cmくらいの小さいものから揃っています。
瓔珞の掃除の仕方
瓔珞は材質により掃除の仕方が異なります。
アルミや真鍮メッキの場合は、金属磨き剤を使います。
乾いた布に液を付け、一つずつこすって艶を出していきます。
かなり大変な作業になるかと思います。
瓔珞は部品数も多い上、裏表どちらもみえるので両面きれいにしないといけません。
しかし、最近は、浸け置きタイプの磨き剤が便利で、実際使っている仏壇店もあります。
浸けるだけで艶がでるので手間がかかりません。
細かくて手が届かない所もきれいになります。
金箔を押してあるものは、磨いたら箔が取れてしまうので、絶対にこすってはいけません。
この時は、専用の仏具洗浄剤があるので、こちらを使用してお掃除しましょう。
吹き付けてしばらくしたら、サッと水洗いをします。
軽く水気を取って乾かしておくと、見違えるくらい綺麗になります。
掃除をしていたら、たまに【糸切れ】を起こすことがあります。
その時は、糸をつないで直してもらいましょう。
瓔珞は修理できるか?
掃除をしていたら、突然糸が切れてバラバラになってしまったという経験はないですか?
瓔珞も経年劣化しますので、糸が弱くなっていきます。
掃除をしないといけないくらい古いものなら、きっと糸も切れやすかったのでしょう。
そんな時は慌てずに、床に落ちた部品を拾い集めてください。
全ては難しくても、大きいものだけでもかき集めましょう。
切れた瓔珞は仏壇店に持っていくと、【つなぎ直し】をしてもらえます。
部品が足りないとその分補充するため金額がアップしてしまいます。
なので、なるべく部品はかき集めておいてください。
「下がりが一本だけ切れたから、その一本だけを直すのだろう」
と思われがちですが、違います。
その一本が今回たまたま切れただけで、他の糸も間違いなくそのうち切れます。
なので、
【直すときは全ての糸のつなぎ直しをしてもらった方が、結果安くなります。】
切れたその度に直していては、時間もお金ももったいないですからね。
職人さんにとっても、一本だけをつなぐ作業は時間がかかり、神経を使います。
もし、依頼以外の糸が切れたら無償で直すことになってしまうからです。
なので、一部だけの直しは断られたり、非常に割高になったりします。
まとめ
瓔珞は、仏壇に飾るきらびやかな装飾具です。
金仏壇や唐木仏壇には、当たり前のように飾りますが、最近の小型化された仏壇には飾るスペースがなく、省略されることが多い仏具です。
しかし、モダン仏壇などに合わせた瓔珞も最近見かけますので、興味のある方は探してみてはいかがでしょうか。
瓔珞の取り付けは仏壇本体にヒートンを取り付けないといけません。
慣れていないと失敗したり、最悪の場合、仏壇を傷つけてしまう恐れがあります。
できることなら、購入先で取り付けを依頼された方がいいでしょう。
ネットショッピングで買われた方は、取り付け方をよく確認してください。
瓔珞を飾ると、仏壇がワンランク豪華になります。
仏壇内(特に上部)がちょっと寂しいな、と感じたのなら、瓔珞の検討をオススメします。