「仏具の卓(しょく)」の種類と飾り方を【簡単解説】します

仏壇に使う【卓】のことはご存じでしょうか?

卓(たく)と普通は読みますが、仏具では卓(しょく)と読みます。

初めての卓選びをする方向けにわかりやすく解説します。

 

こんな方が読むと、今後、迷わすに卓を選択できるようになります。

◎大きな仏壇を購入する予定がある。

◎仏壇を綺麗にするので、卓は購入しようと考えている。

◎小型仏壇に入れる卓を探している。

◎卓について詳しく知りたい。

 

昔の仏壇には必ずと言っていいほど卓が付いていました。

あって当たり前の仏具だったのですが、

現在はというと、

・モダン仏壇には使いません。

・上置き仏壇には使いません。

つまり、小さい仏壇には使用しません。

いえ、「物理的に入らないので飾れなくなってしまった」といった方が正解かもしれません。

 

実は、入るのであれば飾っていいんです。

 

また、卓の代わりをする仏具もあるので、おいおい紹介していきます。

卓は置く場所で名称が変わります。

卓には主に、置く位置やサイズによって、

上卓】【華鋲卓】【前卓】【中卓】【和讃卓】などの名称になります。

 

細かい特徴を、使用方法などと一緒に解説していきます。

【上卓】とは

上前上卓 東 正面上卓(うわじょく)はご本尊の前に置いて使います。

 

伝統型の金仏壇や唐木仏壇の場合は、須弥壇の上に置く卓といった方が分かりやすいかもしれません。

 

【華鋲卓(けびょうじょく)】と呼ぶこともあります。

呼び方は違いますがどちらも同じものです。

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仏壇に上卓を置いた

この上卓には【華鋲】【仏器】【火舎香炉】を置きます。

 

この上卓は主に浄土真宗しか使いません。

宗派により仏具の置き位置が違うので気を付けましょう。

真宗大谷派お東の上卓仏具配置例

真宗本願寺派お西の上卓仏具配置例

ただし、こんなにいっぱい仏具を置けるのは大きな仏壇に付ける上卓だけです。

略式として、こんな感じで省略します。

真宗大谷派お東の上卓仏具配置例(略式)

真宗本願寺派お西の上卓仏具配置例(略式)

火舎香炉は上卓の手前に置いておくか、思い切って省略しましょう。

高田派の上卓配置例

上卓のサイズには3.5寸から8寸まであります。

基準寸法は横幅になります。

【1寸は約3センチです】仏壇や仏具の基準寸法は尺貫法を使います。

上卓には、下須板(げすいた)という一枚の板が上にのっています。

上前上卓とその下須板

打敷は、この下須板の下に挟んで飾ります。

打敷の飾り方はこちらを参考にしてください。

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【前卓】とは

仏壇に前卓を置く位置仏壇によって置く位置が変わりますが、上から2段目か3段目のどちらかに置きます。

須弥壇のある仏壇ならその前に置くのが、【前卓(まえじょく)】です。

 

唐木の前卓を【中卓(なかじょく)】と表記するメーカーもあります。

使用用途は同じですので特に気にしなくて大丈夫です。

 

この前卓には「三具足」「五具足」を飾ります。

【三具足】とは、花立、香炉、ロウソク立て、の3種からなる仏具のセットです。

【五具足】は、花立1対、香炉1つ、ロウソク立て1対と数が増えます。

 

報恩講の時には五具足にして飾るのが正式な荘厳の形と言われています。

 

上卓と同様に打敷を下須板の下に挟んで飾ります。

サイズは、7寸から2尺まであります。

打敷の使用前使用後

【和讃卓】とは

上前和讃卓5寸斜めから仏壇の最下段に置く和讃卓は、その名の通り【和讃の本】をのせるための卓です。

下須板はついていません。

 

なので打敷も飾りません。

浄土真宗しか使わない卓になります。

 

【和讃の本】を簡単に説明すると、親鸞聖人がまとめたとされる日本仏教を称える本です。

本は普段和讃箱という箱の中に入れておきますが、その箱ごと卓の上に載せて飾ります。

和讃本は浄土真宗には必須と言われるくらい大切な本になりますが、現在の仏壇事情もあり、購入する方が少ないのが実情です。

卓のラインナップ

卓と言っても様々な種類があります。

お手頃なものから、仏壇が買えてしまうくらい高額なものまであります。

その違いなども併せて、一部ではありますが紹介します。

上前彫(じょうまえぼり)の卓

上前彫前卓9寸正面卓と言えばこの上前彫の卓のことと言っても過言ではないです。

それほど普及しています。

 

世間で一番売れている卓になります。

 

中心部に1本の彫り物が入っていて、正面には全て金箔が押されています。

横側は彫り物がなく、シンプルな形をしています。

色は「朱」「黒」から選べます。

上前彫上卓の横側

筆返しの形が外向きなら浄土真宗大谷派(お東)用、内向きなら浄土真宗本願寺派(お西)用です。

他にも足の形も違い、外向きがお東用、内向きがお西用になっています。

 

ちなみに、上の写真の上卓は東用です。

足が外側に向かってクルンってしてるのがわかるかと思います。

前三段(まえさんだん)の卓

前三段上卓正面解説上前彫が中央に1本の彫り物があるのに対し、3本の彫り物が付きます。

その分、上前彫より価格が上がります。

 

こちらも朱色と黒色があります。

三段彫(さんだんぼり)の卓

三段彫斜め紹介前三段の側面にも彫り物が付いたものを三段彫と言います。

正面から見れば前三段と変わりませんが、大きな仏壇になると卓は横からもよく見えます。

 

そんな時、貧相に見えずとても豪華に見えます。

 

金仏壇の三方開きに置くと、その効果は絶大です。

京型須弥卓(きょうがたすみじょく)

京型須弥卓(東用)他の卓と違い、細かい彫り物はなく、【透かし】が並びます。

一見質素な形に見えますが、安価ではありません。

 

正面、側面に箔が押され、ひっくり返すとそこにも箔が押してあります。

関西地方で多く目にする卓です。

京型須弥卓うるみの裏金の裏側

西型と東型があります。

さらに、うるみ色をしたものもあり、浄土真宗以外の宗派でも使うことができます。

京型須弥卓うるみ正面

二段卓(にだんじょく)

二段卓は浄土真宗専用の上卓です。

奥が一段高くなっていて、奥に配置した仏具が見やすくなるように工夫されています。

二段卓 東用正面

サイズは3寸から8寸まであります。

二段卓にも西用と東用があります。

二段卓斜めから

色は黒のみです。

ただ、この二段卓は打敷を飾ることができません。

 

階段状にしたおかげで、既製品の打敷を挟むには奥行きが浅くなってしまっています。

二段卓ゲス板ずらし

ワラビ卓

いらないものを取り除いたらこんな形になった、と感じるような卓です。

ワラビ卓 タメ塗正面

足の形が山菜のワラビに似ていることからこの名が付いたとか。

 

宗派問わずに使えます。

モダン仏壇などの小さな仏壇にも違和感なく設置できます。

 

または、ワラビ卓の下須板のみを、仏壇本体の傷や水汚れ防止のために置いている方もみえます。

ワラビ卓とその下須板

唐木の卓(中卓)

唐木仏壇に合わせて黒檀・紫檀でできた卓があります。

作りはシンプルですが、唐木を使っているのでズシリと重いです。

上卓、前卓とも各寸揃っています。

 

もちろん、唐木仏壇とは相性バッチリです。

現代的な卓

モダン仏壇に合わせたモダンな卓もあります。

【たわわ前机】という、シンプルな形と背の低さは、小型の仏壇専用の卓として人気があります。

他にもステンレス製の卓があったり、種類の多いモダン仏壇に合わせて、卓の種類もどんどん増えていくでしょう。

 

 

他にも、【三段裏金】【中筋】【阿弥陀卓】など高級な卓があります。

 

今回は特に需要が高いものを紹介しましたが、機会があれば高級仏具としてこれらも紹介したいと思っています。

卓を使わない宗派はある?

【上卓】は浄土真宗系でしか使いません。

 

他の宗派は【茶台仏器台】又は【仏器膳】を使います。

 

宗派別の飾り方はこちらを参考にしてみてください。

小型仏壇専用の飾り方を提案してます。

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宗派別仏壇の飾り方

 

前卓はどの宗派でも使って構いません。

 

前卓は三具足や五具足を置くための仏具です。

どの宗派でも具足は飾るので、卓も必然的に必要になります。

卓の飾り方

前述しましたが、仏器や華鋲を飾る上卓は本尊の前に置きます。

具足を飾る前卓は、本尊の下の段(中段とか2段目とか言います)に置きます。

 

伝統型の金仏壇や唐木仏壇の場合は、「上卓は須弥壇の上」、「前卓は須弥壇の前」といった方が分かりやすいかもしれません。

 

まとめ

卓は本尊の前に置く上卓、具足を載せる前卓と大きく分けると2種類があります

 

彫り物の数や加工技術の違いで価格に大きな違いが出ますが、使用用途は変わりません。

 

現在主流となりつつあるモダン仏壇や上置き仏壇には、昔からある形の卓を置くのは難しいかもしれません。

 

これは大きさの問題になります。

 

最近は仏具を直置きで飾っている仏壇店も増えてきましたが、できるなら専用の台や卓の上にのせて飾りたいものです。

 

仏壇が傷つくから、という理由だけでなく、そこに形式美も感じていただければ幸いです。