朝食前、仏壇にご飯をお供えし、手を合わせるという経験をお持ちの方が年々少なくなっていると思います。
実際私の実家にも仏壇がなかったので、そのような経験をせずに育ちました。
数年前に、「家に仏壇がある家庭の子は、礼儀正しい子に育つ」などという記事を読んだことがあります。
家庭内での教育の一環として、仏壇が使われていたのかもしれません。
仏器に盛ったご飯を本尊や位牌にお供えする
ご飯を入れてお供えする仏具が、仏器(仏飯器)という道具です。(以下、仏器と呼びます)
仏器の種類と大きさ
仏器には主に陶器、銅器の2種類があります。
陶器のほうが安価で手に入ります。
真っ白、白地に金のハス柄付、金メッキ、青磁、瑠璃などかなりの種類があります。
有名な有田焼、信楽焼きなどでできた仏器もあります。
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銅器は主に真鍮のことを指し、「磨き」「色付き」が昔から一般的でしたが、現在では色、形さまざまな商品が出てきました。
「磨き」とは真鍮を磨いて作ったものです。そのままですね。
「色付き」とは真鍮に黒っぽい色をつけて、見た目を変えたものです。
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銅器にはステンレスの「オトシ」がついている場合がほとんどです。なぜかというとご飯をよそったり洗ったりすると銅器は錆びてきます。
そこでステンレスの「オトシ」を使うことで錆からご飯を守り、仏器を洗う手間もなくすことができるというわけです。
「オトシ」とは仏器の上にのっているお皿みたいなものです。ステンレスなので錆びません。
大きさの表示ですが、
陶器の場合は、「小」「中」「大」「特大」
銅器の場合は、「4番」「5番」・・・「12番」(番号が大きくなるほど実際の寸法は小さくなる)
となります。
こんなサイズをいわれてもわからないと思いますので、気にしなくていいです。
ご飯の盛りやすさ、仏壇とのバランスを考えて決めましょう。
お店に行って実際手にとってみるのが一番いいのですが、ネットで探す場合は、直径や高さが表示されているので、参考にしましょう。
実際に仏器を使ってみましょう【モッソの使い方】
しゃもじを使ってご飯を盛り付けたり、おちょこや小さい湯のみを使ってもいいですが、粘り気のあるご飯がいうことをきいてくれず、型崩れしてしまうことがあります。
そんな時【モッソ】という道具を使いましょう。
下の写真は「プラスチック製の筒」と「木製の棒」を組み合わせたタイプです。
「モッソ」とは「盛槽」と書きます。「仏飯抜き」ともいいます。木製の棒と円筒状のプラスチックで1組です。
ステンレス製もあります。
使い方はいたって簡単です。
【使い方】
1.)よく濡らしておきます。
2.)棒を筒にいれます。
3.)ご飯をつめます
4.)仏器にあてがって棒を押します
5.)できあがり
こちらの円筒状は浄土真宗大谷派(お東)のご飯の形になります。
ほかの宗派は山型にご飯を盛るので、仕上げ時に形を整えるといいでしょう。
実際に使ってみた写真がこちらです
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親バカコーナー
撮影していたら子供もやりたいというのでやらせてみました。
毎朝忙しいあなたには【これ】をオススメします!
仏器を買ったら毎朝仏壇にお供えをするのですが、忙しい現代社会。
「ただでさえ朝はバタバタしているのにやっている暇なんかないよ」、というあなたへうれしいお知らせ。
こんな便利グッズがでています。
プラスチックでできたイミテーション。食品サンプルです。
触ってみると硬いゴムのような感じです。
サイズも形も豊富にあるのでご自身の仏器に合うものを見つけてください。
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今の家庭では朝は、パン派の方が多いかもしれません。シリアル派かな。
そんな時は無理にご飯を炊いて用意することはないです。
故人が無類のごはん好きだったら別ですが、仏器には食品サンプルを置いておき、高月や供物台にパンなどをお供えしましょう。
毎朝のお勤めが負担になってはいけません。
自分のご飯すらナシの時あります。
でも、朝はしっかり食べよう。
仏器台について
仏器を直接仏壇に置くことはしません。台の上にのせて使用します。
なぜかというと、こぼれたご飯、仏器についている水滴で仏壇を汚してしまうからです。
私たちが使うテーブルと同じですね。
宗派により台の形が変わりますので、主なものを紹介します。
浄土真宗本願寺派(お西)は主に京型6角仏器台を使います。
浄土真宗大谷派(お東)は、主に梅型仏器台。
他宗派では梅仏器台や丸仏器台がよく使われます。
主にお西で使う京型6角仏器台
※ほかにも、木製・プラスチック製の金箔加工・溜塗など色々な種類があります。
主にお東で使う梅型仏器台
※ほかにも、木製・プラスチック製の金箔加工など色々な種類があります。
その他の宗派でよく使われる丸仏器台
※ほかにも、プラスチック製・蒔絵付き・朱色など色々な種類があります。
こぼれ話
上記の、宗派ごとに使う仏器台の説明で「主に」とか「よく使われる」という表現にしました。
なぜこのようなあいまいな表現にしたかというと、
人によって言うことがバラバラだからです。
例えば「宗派別の仏具の使い方」などで検索してみてください。
同じ宗派でも使っている仏器台がサイトにより違います。
決まりがあるようでないのが仏具なのです。仏壇もしかり。
【仏器膳】を使うときもあります。湯吞みと仏器を並べてお供えできる仏具です。
ただし、小さなモダン仏壇では仏器台や仏器膳をのせるスペースがないのが実情です。
そういう場合、「仏具敷き」を使ってください。ランチョンマットですね。
仏具敷きもオシャレなものがたくさんあります。
「茶台」と「仏器台」のバランスについては、こちらのほうでお話しています。
茶台とは、仏様とご先祖様に【飲み物】をお供えするための仏具です。ごはん(仏飯器)と一緒に毎朝お供えするときに使います。昔から日本人は、「ごはん」と「お茶」ですからね。茶台の材質と色の種類 […]
まとめ
仏器は本尊やご先祖様にお供えするご飯を盛る道具です。毎日使うことになりますので、お手入れが簡単なものを選んでおきましょう。
毎日が無理ならプラスチック製のご飯を使ってください。
休日や月命日はきちんとお供えする、と決めておくと無理せずできると思います。
茶台も仏器と同じように毎日使うものとなります。割れたら気軽に交換できるものにしましょう。
習慣になるまでが大変ですが、慣れてしまえば、
毎朝、顔を洗うように、お供えすることがあたり前な日常になります。
それってとっても素敵ですよね。