以前、『西型位牌と呼ばれる位牌の中から選ぶなら、これがオススメです』
という記事を紹介しました。
今回はその【東日本編】です。
主に東日本で使われている位牌を比較してオススメの一本を決めます。
東日本が主な産地の位牌4種類の紹介(塗位牌に限る)
ラインナップはこちらの4本です。
それぞれの特徴を簡潔にまとめてみました。
春日
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(私のオススメはこの春日です。理由は後述します。)
札板には面取りがしてあり、頭部は丸みがあります。
黒塗りの箇所はは艶のない半消し仕様のものが多いです。札板のすぐ下にある【蓮座(れんざ)又は受花(うけばな)とも】はシンプルな四角形となります。
値段も安く、シンプルなデザインから、モダン仏壇とも相性が良く、どの仏壇にも合わせやすいのが特徴です。
「塗り」以外にも唐木(紫檀・黒檀)で作られたものもあります。
主な仕様・・・面粉
蓮付春日(蓮華付春日ともいう)
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框(かまち)座の形も異なります。
茄子座(なすざ)の透かしの中にある紙は金紙になっています。
春日ではシンプルすぎて物足りないと感じたなら、こちらの連付春日を候補に入れてみるのもいいかと思います。
春日同様、唐木の位牌もあります。
主な仕様・・・面粉
勝美
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札板の上部は角を切り落としたような【木瓜】という造りになっています。
連座が独特な形をしていたり、上花(うわばな)と返り花(かえりばな)と言われる部分が虫喰柄であったり、框座(かまちざ)の中心に前垂れがあったりします。
「みんなと同じ位牌じゃつまらない」
「故人は個性的なものが好きだったな」
という方にはいい位牌です。
春日同様、唐木の位牌もあります。
主な仕様・・・面粉
猫丸
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さらに、札板の巾が他の位牌の約1.2倍広く作られています。
なので、夫婦位牌に使われることが多いです。
框座の下には水板がついているのも特徴的です。
普通、猫丸は三方金といって箔仕上げになりますが、上等猫丸になると金粉仕上げになります。
価格は2倍以上変わります。
春日同様、唐木の位牌もあります。
主な仕様・・・三方金
この4種類は塗り位牌の中でも昔からある代表的な位牌です。
東日本中心に出荷されていましたが、今では西日本でも売られるようになりました。
流通網が発達したことも一因ですが、シンプルな位牌を求める傾向になっていることが広がった大きな要因となっていると感じます。
今回も出荷本数や価格では比較せず、【造形】【サイズ感】【コスパ】等々を考慮しています。
又、どんな仏壇に合わせるのかも重要になってきます。
仏壇によって位牌の選び方も変わるからです。
そこで今回の設定は、
「ウォールナット色のモダン仏壇」に安置する位牌のオススメは?
として、決めていこうかと思います。
具体的にはこちらの仏壇です。
上置用でもあり、サイズも手頃で置き場所に困らないのもこの仏壇の特徴です。
一番のオススメは【春日、しかも外国製】です
私がこの4本の中でオススメする位牌は、【春日位牌】です。
しかも外国製のものになります。
理由は主に3つあります。
・見た目がシンプルで落ち着いた雰囲気
・国産品に比べると安い
・仏壇に合わせやすい
一つずつ簡単に理由を述べていきます。
見た目がシンプルで落ち着いた雰囲気がある
この4本の位牌の中で春日は一番シンプルな形をしています。
蓮付春日とほぼ同じ形になりますが、ほぼ同じなら価格の安い春日でいいと思います。
春日の特徴は、
◎連座が装飾のない四角形
◎「面粉仕上げ」で黒の面積が多い
国産品に比べて安い
一昔前は外国製といえば、塗りが雑で、一目見ただけで粗悪品とわかるものでした。
しかし、最近は技術も向上し国産の位牌と並べても一見差がないようにみえます。
【見た目に差がないのに、金額には大きな差があり、約2~3倍の違いが出ます。】
もちろん、各メーカーによって金額の差はでますが、外国製のほうが安いことに間違いありません。
詳しく比較した記事があるので、気になる方は読んでみてください。
〇国産と外国製があると聞いたけど、どう違うの?〇なんで値段がこうも違うんだろう〇外国で作った位牌はちょっと・・・品質が・・・・・〇結局、どっちを買ったほうがいいのか教えて!仏壇店に位牌を買いにいった方の多[…]
仏壇に合わせやすい
塗り仏壇はもちろん、唐木仏壇、家具調仏壇にも合わせやすいのが春日の長所でもあります。
金箔を使わず、金粉を使用することで、シックな雰囲気になり、控えめな印象があります。
しかも面粉仕様なので、黒い面が多くなっています。
装飾も少なくシンプルな分、どの仏壇に置いても違和感がありません。
春日と他の位牌との比較
では、なぜ春日がオススメで、他の位牌じゃだめなのかを一つずつ簡単に解説していきます。
春日と蓮付春日を比較しました
春日の上位品といわれる蓮付春日です。
蓮華座は春日がただの四角の形に対し、蓮弁の形に彫られています。
框座も少し形が変わります。
確かに見た目はグレードアップしていますが、「春日でよくない?」と正直思います。
春日と勝美を比較しました
勝美の特徴は、上花と受座です。
【虫喰の加飾】がしてあり、このような位牌は勝美のみになります。
勝美はなかなか独創的な位牌です。
なので、「春日のほうがどの仏壇にも合わせやすい」という点で今回は万人向けの春日をオススメします。
春日と猫丸を比較しました
猫丸の特徴は、札巾が他の位牌より広くなっています。
なので、よく二人書き(夫婦位牌)用として使われます。
札巾が広く、ドッシリとした印象が強いので、大き目の仏壇に合わせるといいかと思います。
どちらかというと西型と呼ばれる位牌に似ています。
価格が春日よりぐっと高くなることもあり、春日に軍配を上げました。
春日位牌にしたときのデメリットは?
4本の中で、私は【外国産の春日】をオススメしました。
では、デメリットはないのか疑問をもたれた方もいると思います。
そこで外国産の春日のデメリットを考えてみました。
●安すぎて逆に不安
メーカーによって品質に差がある
位牌を作っているメーカーはたくさんあります。
メーカーによって品質に差が出るのは外国製の宿命みたいなものです。
大量に作ることでコストを抑えるかわりに、一本一本に目が届かなくなります。
検品する人にもよりますが、日本の職人のようにチェックも厳しくありません。
やはり経験の差が出るので、何百年と引き継がれてきた技術がある日本と、大量生産前提で作っている海外とでは同じものを作れというのが無理な話だと思います。
安すぎて逆に不安
これもよく聞く話ですが、
「位牌がこんなに安いと品質も悪いんじゃないの?」
「安かろう悪かろうでしょ?」
と疑ってしまいたくなります。
実は、外国製とうたっている位牌にも価格に開きがあります。
安いから不良品とはいいませんが、あまり安いものは避けたほうが無難だと思います。
写真写りだけではわからず、現物を見ると塗りが悪かったり、金粉を使わず【代用粉】を使っている位牌があります。
代用粉は数年立つと色が黒っぽく変色していきます。
材質に真鍮を使っているので錆びてくるのです。
今では、金色の塗料を使う位牌もあります。
塗料も変色していきます。
故人の分身ともいえる位牌なので、買って失敗したと思いたくはないですよね。
原価、人件費等を考えると、外国製の春日位牌の3寸で最低7000円はすると思います。
これくらい出せば、本金粉が使用され、塗りも問題ないでしょう。
個人的な意見ですが、それ以下のものはオススメしません。
【外国製の春日】の買い方
オススメは外国製の春日といいましたが、ではどこで買えばいいでしょう?
懇意にしている仏壇店があれば、そこで買うのがいいでしょう。
そんな店はないという方でも、親切なお店に行けば色々な位牌を見せてもらえ、選ばせてくれます。
「外国製の春日、または安い春日位牌が欲しい」といえば対応してくれるでしょう。
インターネットで探される方は、【春日 位牌】で検索すれば数多くヒットするはずです。
対面販売でない分、どんな商品が届くか心配になるかもしれません。
ネットショッピングの基本ですが、
・実店舗があるか
この2点は確認したほうが安心だと思います。
万が一のために、実店舗があると安心です。
急に連絡が取れなくなるリスクが減ります。
しっかりと下調べをして購入しましょう。
ちなみに、こちらのお店は愛知県でも有名なお店になります。
安心・信用という点では間違いないでしょう。
近所の優良仏壇店を探すならこちら↓
まとめ
東日本で主に製造されている位牌4種類を比較して、どれが一番オススメかを決めました。
今回設定した仏壇にオススメな位牌は【外国製の春日】です。
仏壇が変われば位牌のオススメも変わりますが、ほとんどの仏壇に違和感なく合わせやすい春日はかなりオススメな位牌です。
国産の春日もありますが、価格面からみて外国製にしました。
品質の不安もありますが、私が知る限り、今の外国製は悪くありません。
(安すぎなのはやめたほうがいいですが)
信用できるお店で買うことをオススメします。
故人の分身としての位牌です。
一生に一度しか買うことはないでしょうから、故人の為、ご自身の為にも【いい位牌】を選んでください。