〇国産と外国製があると聞いたけど、どう違うの?〇なんで値段がこうも違うんだろう
〇外国で作った位牌はちょっと・・・品質が・・・・・
〇結局、どっちを買ったほうがいいのか教えて!
仏壇店に位牌を買いにいった方の多くが、位牌に国産のものと外国製のものがあると初めて聞かされます。
違いもいまいちわからないのに、
「どちらにするか決めてください(店員)」
と言われ困った方が多いのではないでしょうか。
仏具問屋に勤めている利点を活かし、国産と外国産の位牌の二つを並べて、徹底的に比較していこうと思います。
ここまでやっているサイトはまだ見たことがないので、まずは最後までお付き合いください。
この記事では、位牌を買う時に国産のものを選ぶべきか、外国製の位牌を選ぶべきかを実際並べて比べながら紹介したいと思います。
最後まで読んでいただければ、「自分にはどちらの位牌がいいのか」が明確になるかと思います。
すごく細かいところまで比較しているので、早く結論だけ知りたいという方は、【まとめ】【結論】から読んでください。
比較するのは【春日】という位牌です
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今回は、【春日】という位牌を使って、比較をしていきます。
なぜ春日かというと、
・全国に流通していて、すぐに手に入る・人気がある
・国産と海外製がある
以上が理由です。
一部の位牌には海外で作っていないものがあります。
高級な位牌や【柱付】といわれる位牌がそれです。
春日は国産もあり、外国製も多く作られています。
欲しい時、手に入れやすいというメリットもあります。
春日は位牌の中でも人気があり、値段もお手頃になっています。
そんな理由から、【春日】にしました。
以前、『西型位牌と呼ばれる位牌の中から選ぶなら、これがオススメです』という記事を紹介しました。今回はその【東日本編】です。主に東日本で使われている位牌を比較してオススメの一本を決めます。※位牌の本来の数え方は「1柱(はし[…]
【徹底比較】国産と外国製の違い
まず、比較する項目をわかりやすく表にしてみました。
比較する項目 | 国産 | 外国製 |
見た目 | 〇 | △ |
価格 | △ | 〇 |
寸法 | 〇 | 〇 |
手触り | 〇 | △ |
耐久性 | ? | ? |
字を彫った感じ | 〇 | 〇 |
春日位牌の【見た目】を比較
まずは見た目から。
小型の仏壇によく使われる3.5寸の春日を並べています。
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ぱっと見て、すぐ「あれ、外国製のほうが背が高い」と感じたと思います。
測ってみたら2ミリほど背が高かったです。
写真ではもっと差があるように見えていますが、実際はそうでもありません。
どちらも半消し仕様ですが、外国製のほうが、白っぽくみえます。
写真ではわかりづらいですが、近づいてみると半消し塗料の粒子が大きく見えました。
国産のほうは粒子の粗さもなく、均一に塗装されていました。
ただ、他の外国製の位牌には綺麗に塗装されているものがあったので、個体差によるものかと思います。
個体によって若干の違いが出るのは外国製ならではです。
ただ、使用には全く問題ないレベルです。
札板上部の丸いカーブは国産のほうがより丸みがあります。
そして、面取り部は国産品が太めに彫られていました。
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なので、文字を書く黒い面が若干、外国製と比べると細くなっています。
写真ではわかりづらいですが、金粉の色は外国製のほうが薄いです。
どちらも本金粉を謳っていますが、金の含有量が違うことが原因だと思います。
国産のほうが金を多く含んでいることが伺えます。
本金や本金粉は金の含有量が多少違っても、「本金」「本金粉」と表記していいことになっています。
よく聞く、24金(含有率100%)を使用している位牌は外国製はおろか、国産でもほぼないと言えます。
一番の違いがあったのが、茄子座(なすざ)の透かしの形です。
やはり外国製は単純です。
逆に、国産は丁寧に彫られ、いい仕事をしています。
透かし内部の青貝(あおがい)と呼ばれるシートも違い、国産のほうは粒が多く、キラキラしています。
カマチ座の下部の曲線も少し違いました。
札板の下の所は、外国製は丸みがあるのに対し、国産は垂直になっていて、札板と【受け花】の間に隙間なくフィットしています。
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春日位牌の【価格】を比較
インターネットで無作為に10社選び、平均化した価格です。
国産の平均価格 21,732円
外国製の平均価格 8,508円
※位牌の代金に文字書き(彫り)を含む位牌も含まれています。
※「上塗り」「呂色」も含まれています。
※春日の3.5寸の表示価格を集計しました。
やはり、国産のほうが2~3倍程高いという結果になりました。
主な理由はこの2点になると思います。
その1.)人件費の違い
外国製は人件費の安い中国や東南アジアで製造されています。
その2.)作業工程の違い
木地をよく乾燥させないと【反り】がでます。
そうならないため国産品は乾燥に長い時間を掛けます。
一方、外国製は乾燥時間を短縮し、芯まで乾かないうちに次の工程へ入り、工期の短縮を図っています。
それらが原因で、反りやヒビ割れが起こりやすいと言われています。
あるメーカーでは、札板に国産ヒノキを使用しているため高額になっていると説明がありました。
よく乾燥させ、硬いヒノキを使うことで精密な位牌が作られています。
外国製の多くの位牌はヒバの木を主原料にしています。材料費が他の木材に比べ安いのが理由です。
さらに、下地や塗りの工程も国産は外国製よりも多いです。
その分、時間とお金は掛かりますが、丁寧な造りの位牌が仕上がります。
春日位牌の【寸法】を比較(3.5寸の場合)
国産
外国製
いずれも数字はcmです。
この数字は実際に位牌を測った実寸です。
写真をみるともっと高さに違いがあるように見えますが、実際は2ミリだけ背が違うという結果になっています。
写真を撮る私の技術の問題かもしれません。
札板の丈は一緒なので、台座部の差になります。
春日位牌の【手触り】を比較
どちらもサラっとしています。
触っても指紋が付きにくい半消し(マット)仕上げです。
春日位牌の【耐久性】を比較
これは、個々の環境によるところが大きいのでハッキリと、どちらが優れているとはいえません。
材料や作業工程などを考えると国産のほうが「塗り痩せ」や「反り」「ヒビ割れ」のリスクは少ないと思います。
ただ、実験したわけではないので明言はできません。
今まで何度か古い外国産の位牌を目にすることはありましたが、特別ひどい状態のものを見たことはありません。
仏壇の中に入れ、きちんとお手入れをしていればどちらの位牌も問題なく、何十年も使い続けることができるでしょう。
春日位牌の【字を彫った印象】を比較
同じ条件で同じ字を彫ってみました。
まずは国産の春日の写真です。
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次は外国製の春日に字を彫った写真です。
アップで撮ったので若干ぼやけてしまいましたが、実際目で見て比較しても、違いはありませんでした。
割れたり、塗り部分が飛んだりすることもありませんでした。
どちらもきれいに彫れたので、この工程では優劣がないことが分かりました。
位牌に字を彫るとこのように白い字になります。
これは、黒塗りの下地に白いポリエステル系樹脂の板を挟んでいるからです。
昔は【胡粉】といって、牡蠣やホタテなどの貝殻を粉にして木地に塗っていたようですが、現在は胡粉は使わず、人工物を使用しています。
国内の位牌メーカーの話では、この方がムラなく、綺麗に白が出るそうです。
外国製でも同じようなものが使われています。
もちろん、文字は彫らずに書くこともあります。
【書き】でも、どちらかが書きにくいとか、かすれるなどの話は聞いたことがありませんし、経験したこともありません。
まとめ
国産位牌と外国製位牌を比較した結果、
・見た目や造りの細部が丁寧なのは国産位牌です。
・価格が安いのは外国製の位牌です。
・寸法に大差はありません。
・触った感じはほぼ同じですが、どちらかといえば国産のほうがサラっとしています。
・耐久性に関しては、個々の環境に大きく左右されるので、一概には言えません。しかし、製作工程などを考慮すると国産のほうが不具合が起きにくいと思います。
・書き感、彫り感は同じでした。塗り面が割れたりすることはどちらもありませんでした。
結論
「結局、どっちを買ったほうがいいの?」という質問の答えですが、
〇価格重視の方は【外国製】
〇「MADE IN JAPAN」の安心感と、妥協のない造りを望むなら【国産】
というところで選んではいかがでしょうか?
→【外国製】の春日位牌3.5寸の価格は?【楽天市場】のページはこちら
→【国産】の春日位牌3.5寸の価格は?【楽天市場】のページはこちら
以前、『西型位牌と呼ばれる位牌の中から選ぶなら、これがオススメです』という記事を紹介しました。今回はその【東日本編】です。主に東日本で使われている位牌を比較してオススメの一本を決めます。※位牌の本来の数え方は「1柱(はし[…]
~補足~
位牌のメーカーは国内外にたくさんあり、メーカーごとで作業工程が異なります。
今回比較したのはその中の2つです。
なので、全ての結果が今回と同じになるということではありません。
ご了承ください。