仏壇の購入を考えている皆さんは、本尊のことをお考えでしょうか?
仏壇店では、よく「仏具付き」として仏壇を売っていたりします。
この場合、本尊や脇侍は別料金のことが多いです。
もし、本尊まで含んでいるのなら、安い掛軸が付いてくる可能性大です。
「本尊の選び方や種類に興味がある。」
「何十年間、手を合わせるものだから知っておきたい。」
という方に読んでいただきたいと思います。
・本尊の形は【仏像】と【掛軸】
・仏像の種類
・掛軸の種類
このような本尊に関する基本的なことを、初心者のかた向けに紹介していきます。
そもそも本尊とは何?
すごく簡単に言うと、【本尊は仏様】【脇侍はお坊さん】のことです。
※例外(日蓮宗)もありますが、基本こう覚えておけばOKです。
宗派によってお祀りする本尊が異なるので、宗派別のページを参照してください。
つまり、「本尊=仏様」なので、本尊は私たちが手を合わせる対象のことです。
本尊は、仏壇の上段中央にお祀りします。
本尊の左右に祀るお坊さんを【脇侍(わきじ)】と言います。
最近では脇侍を省略する仏壇の飾り方が増えてきました。
これは、仏壇の形や大きさに関係しているものと思われます。
しかし、本尊は必ず祀るようにしてください。
なぜなら、仏壇とは本来、本尊をお祀りするためのものだからです。
先祖供養はもちろん大事ですが、仏壇はお寺を小さくしたものです。
お寺の中心に仏様が祀られていることからも、何が一番大切なのかわかるかと思います。
本尊・脇侍には【仏像】か【掛軸】のタイプがあります。
【仏像】立体的で、主に木を彫って作製されています。
【掛軸】表装された紙に本尊の絵を印刷したり、手描きしたものです。
最近はスタンド型と言って、置く掛軸もあります。
通常掛軸は、仏壇の背板に画鋲などで止める必要がありますが、その手間が省けます。
他にも掛軸を掛けておける掛軸台という商品もあります。
掛軸にするメリット
仏像に比べ価格が安いです。
掛軸はあくまで紙ですから当たり前と言えば当たり前ですが。
ただ、本紙が金箔であったり、表装に本金箔を使用したり、絵が手描きだったりすると桁が変わるくらい高額になります。
本山専用の掛軸を受けることも可能です。その時は菩提寺に相談されるといいでしょう。
本山とは、天台宗なら延暦寺(滋賀)、浄土真宗本願寺派なら西本願寺(京都)などのことです。
わかりやすく例えると、
葬儀のときにお経を上げてくれた住職のいるお寺です。
会社でいうところの支社です。
菩提寺はないが本山から掛軸を受けたい、と思われたら近くの仏壇店に相談してみましょう。
菩提寺を紹介していただけるか、代行して掛軸を取り寄せてくれるかもしれません。
仏像にするメリット
私個人の意見ですが、仏壇の中に仏像を入れると【カッコイイ】です。
しかも、仏壇の存在感が3割増しです。(個人的感想)
どんなモダンでおしゃれな仏壇にも合います。
ダウンライトに照らされていると、神々しさが増しますよ。
掛軸の種類
先ほど紹介した本山から受ける掛軸以外にも、いろいろなメーカーから販売されています。
選ぶ基準としては、予算でいくか、絵像の印象で決めましょう。
同じ座釈迦ですがこんなに違います。
掛軸の大きさ
掛軸の基準は「○○代」となります。
なじみがない単位ですので、覚える必要はありません。
昔から仏壇も100代、200代という単位で大きさを表していました。
これは「100代の掛軸が入る仏壇」、「あれは200代が入る仏壇」と、単位を同じにすることで、仏壇の規模がわかりやすくなっていました。
しかし、最近でてきたモダン仏壇や唐木仏壇には「代」を使わないです。
「号」を使います。
それでもわかりにくいと思いますが。
なので、「代」や「号」は気にせず、実際に仏壇の上段から高さを測り、何センチまでの掛軸なら掛かりそうか測っておきましょう。
本尊をかける場所の幅も測っておくとより良いです。
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測ったサイズに入る掛軸を選べば間違いありません。
脇侍を本尊より1サイズ小さいものにする方も多いようですが、本尊と同じ大きさでもかまいません。
仏像の種類
仏像は主に木材を使って彫られています。
木の種類や彫り方、台座の違い、もちろん大きさによって値段が変わります。
代表的なものを紹介していきます。
仏像には中七、京型、檜(白木と表記してある所も)、柘植(黄楊)、白檀などがあります。
中七(ちゅうしち)とは、金型にプラスチックを流し込み、金箔を押して仕上げたものになります。プラモデルやフィギュアみたいなものです。
彫りこんで作るものではないのですべての箇所のエッジが弱いです。凹凸が緩やか。
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京型とは、木材を彫り上げ、漆またはカシュー塗料などで黒塗りにし、金箔や金粉で仕上げていきます。
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桧、柘植、白檀は木材そのままの風合いを生かして彫り上げていきます。
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台座にも種類があります。
丸台、六角台、八角台、華鬘(ケマン)台があります。※中七は6角台のみです。
さらに、
玉眼入り・・・目にガラス球を使用する(目力UP)
金泥書き・・・衣に金色の塗料で柄を書く(立体感UP)
截金(きりがね)・・・金箔をすごく細く切り、木像に貼り付けて模様を描いていく精密な技法(立体感and華麗度UP)
割り袖・・・肩から袖までを本体部分とは別に作製することで、衣の仕上がりが、より衣らしく美しい形になります。(再現度UP)
脇侍、日蓮、弘法大師などには彩色したものもあります。
仏像ならこれがオススメ
いろいろ紹介しましたが、結局どれがいいんだ?と思われたでしょう。
私のオススメは、「ツゲの金泥書き」です。
値段もお手頃で、ツゲの薄いクリーム色は目を惹かれます。木目も目立たず、美しいです。
本尊、脇侍すべてをツゲにすると小さい仏壇の場合、窮屈に見えるかもしれません。
そういう時は、脇侍のみ掛軸にしましょう。
モダンな上置仏壇にはこのパターンがオススメです。
真ん中の本尊が、掛軸か、仏像か違うだけで印象がガラリと変わります。
一度検討してみる価値はあるかと思います。
もちろん、掛軸でも問題はありません。形こそ違いますが、同じ仏様です。
魂入れの儀式をすれば、あなたの仏壇の大切な本尊になります。
開眼供養、お性根入れとも呼ばれています。
住職にお経をあげてもらい、仏壇や位牌、そして本尊に魂を宿していただく儀式です。
この【魂入れ】をすることで、ただの物から、手を合わせ崇める対象となります。
菩提寺がないときは、本尊の購入先に問い合わせると住職を紹介してくれるかもしれません。
最近では、ネットで依頼することもできます。
檀家になる必要もなく、お布施(料金)も明瞭なので、利用してみるのもいいかと思います。
まとめ
本尊を選ぶにはまず、掛軸にするか、仏像にするかを決めましょう。
仏壇を採寸してどのくらいの大きさが適当か調べておきましょう。
予算と相談しながら、後悔のない本尊、脇侍を。
仏具は取り換えが簡単にできますが、本尊はそうもいきません。
これからずっと手を合わせていくことになります。
よく相談して決めることをお勧めします。