10年たつとわかる仏壇の品質

仏壇における【日本製】と【海外製】の違い

国産仏壇と外国仏壇の比較結論から言うと、見た目ではわかりません。

 

私も仏壇仏具の卸問屋に勤めて10年以上になりますが、見ただけでその違いが分かったことはないです。

それほど、最近は技術が進んでいます。

 

昭和初期の頃は、国内で作る仏壇しかありませんでした。

しかし、高度経済成長期やバブル期になると、材料費、人件費などのコストを減らすため海外で仏壇を作るようになりました。

 

初めは中国に拠点を置き、派遣された日本人の指導のもと、生産されるようになります。

仏具も同じく中国で作るようになっていきました。

 

私の会社では今でも、上海の工場で生産した大量の仏具を輸入しています。

 

初めのうちはやはり低品質のものが多かったそうです。

日本で検品し、修理して販売していました。

 

その当時は仏壇仏具が飛ぶように売れた時代だったそうで、ある程度の品質の物でも買ってもらえていました。

 

時は流れ、2000年代に入ると品質重視の傾向になり、安かろう悪かろうでは売れず、返品対象になっていきます。

 

しかし、長く海外で生産していたこともあり現地の職人の技術も向上し、高品質なものができるようになっていきました。

今では中国のみならず、アジア諸国で仏壇は生産されています。

 

物価が安く人件費が抑えられる東南アジアに生産拠点を置き、高品質、低価格の仏壇が輸入されています。

倒産品はお買い得か?

閉店セールの店イラスト

時折、新聞の折り込みチラシなどに、セール広告がはいることがあります。

チラシを見ると、大きな仏壇がかなり安い値段で売られてたりします。

限定3本などと表示してあり、お買い得感がいっぱいです。

 

こんなチラシをよく見てみると、土日のみの営業で、以前はコンビニがあった空店舗を借りて営業しているようでした。

 

倒産品や処分品の物を集めて一定期間のみ営業するスタイルの会社です。

本当に倒産品や処分品はお買い得なのでしょうか?

 

実は、倒産品の中には、表示価格相当の低品質な仏壇も混ざっています。

もともと安いものを倒産品や処分品として謳い、お得感を出して販売しているのです。

 

見た目では品質が分かりにくい仏壇です。

まして、初めて仏壇を買う方にはその違いは判らないでしょう。

 

低価格の仏壇はそれなりのものであると割り切って購入する覚悟が必要です。

 

さらに、壊れた時の修理や保証のことで後々トラブルになることがあることも忘れないようにしてください。

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仏壇の割引の話アイキャッチ

直して使う仏壇、使い捨ての仏壇の話

ここまで、仏壇には海外製と日本製があり、見た目の違いこそないけれど安い仏壇にはそれなりの理由があることを述べてきました。

では、良し悪しは金額で判断するしかないのでしょうか?

安い仏壇の寿命は・・・

実は、長い間使ってみて、初めて品質が分かります。

安い仏壇は全てとは言いませんが、一般的に10年程すると不具合が出てきます。

 

現在、仏壇品質表示は義務化されているので、お店でもネットショッピングでも必ず表示してあります。

 

そこには「商品名」「主芯材」「原産国」「外形寸法」「表面仕上げ」などが書いてあるはずです。

表示されていない場合はそこで購入するのはやめておきましょう。

 

この中の「主芯材」「表面仕上げ」をみてください。

 

主芯材が「MDF」というのがあるかと思います。

「MDF」とは、木材を繊維状にほぐし、接着剤で配合した【繊維の板】です。

 

「MDF」は軽量で加工しやすいのが特徴で、反りや割れも少なく安価で手に入ります。

 

しかし欠点として、

●水や湿気に弱い
●カビが繁殖しやすい

このことからわかるように、水に濡らして染み込ませてしまうと木が膨らんで、割れの原因になったり、そこからカビが発生することがあります。

 

なので、「MDF」を主芯材として使っている仏壇は、仏壇を綺麗によみがえらせる修理【お洗濯】ができないのです。

 

部品の交換はできるかもしれませんが、完全修復ができないと仏壇の寿命は短くなってしまします。

 

【表面仕上げ】に「○○調プリント」となっているものは、木目を印刷した紙を張り付けて仕上げたものです。

あくまでも紙なので、年月が経つと色あせてきます。

可動部分では、紙がこすれて破れるかもしれません。

 

もし、「着色」となっていたら、主芯材に直接塗料を吹き付けたものです。

「板貼り」というのは、薄い板(2~3ミリ)を主芯材に張り付けた仕様です。

このタイプは多少の水汚れにも耐性があります。

 

今あげた材料や表面仕上げのものは、基本仏壇に傷みがでるのが早いです。

手入れせずにほっておくと、10年くらいでどこかしらにガタが出てくると思っていいでしょう。

 

悪くなったら買い替える心構えでいた方がいいかと思います。

そんな仏壇をいい状態に保つコツ

仏壇の在庫風景日本は湿気が多い国です。

仏壇は湿気に弱いので、こんなことに気を付けると、いい状態が長続きします。

◎湿気の少ない部屋に置く

◎直射日光を避けた場所に置く

人が過ごしやすいと感じる環境は仏壇にとってもいい環境です。

人が多く集まる場所や、毎日目に入るところに置くことをオススメします。

 

また、当たり前ですが、こまめな掃除はしましょう。

ほこりを払ったり、布で乾拭きです。

 

万が一、水をこぼしてしまったらすぐに拭き取りましょう。

仏壇はほったらかしが一番よくありません。

直して何十年も使い続けられる仏壇は・・・

では、直して使う仏壇とはどんなものかというと、【金仏壇】や【厚板貼りの唐木仏壇】になります。

こちらは、手入れをきちんとすれば50年、100年と使い続けることができます。

 

初めから、直して使うことを前提に作られているので可能なことです。

 

ただ金額が高くなります。

初期投資として考え、子供や孫の世代に負担をかけされたくないと思われるなら、この選択肢はアリだと思います。

まとめ

最近の仏壇は海外製でも日本製と同じくらい品質が良くなっています。

見た目で判断することはできないでしょう。

ただ、品質表示がしてあるので、【主芯材】や【表面仕上げ】の項目から、この仏壇の寿命がわかってくるかと思います。

 

使い捨て感覚で安く手に入れるか、世代を超えて使い続けるか、あなたの仏壇に対する考え方で選択していきましょう。

 

倒産品や処分品として販売しているお店もありますが、後々のトラブルになってしまうことを考えると、やめておいた方が賢明かと思います。

連絡したけど繋がらなかった時は本当に困ったことになるでしょう。

 

そんな時は、近くの仏壇店に相談しましょう。

事情を説明すれば、きちんと対応していただけると思います。