【仏壇選びの前の予備知識】必要ない方は飛ばしてください
仏壇がタンスなどの家具とは違うことはご存じかと思います。
仏様を祀り、位牌を祀る神聖なものです。
中央には本尊をいただき、そのもとに位牌を置きます。
そこに、お供え物や仏具を並べて飾りつけします。
仏壇はお寺の縮小版となります。
江戸時代から家に仏壇を入れる習慣が始まりました。
家にいながら仏様にお参りできるようになったというわけです。
家具と違い、構造が寺に似ているため複雑です。
そのため、一流の職人が専門職別に各パーツを作る分業制がとられています。
「木地」「彫刻」「宮殿」「塗り」「金箔押し」「錺(かざり)金具」「蒔絵」「組立」となります。
これが、金仏壇作製の工程になります。
家具調仏壇や唐木仏壇はこれより工程が少なくなります。
なので、価格が抑えられているのです。
金仏壇に関して言えば、ほぼお寺の作りと変わりません。
お寺の場合、建ててから百年、二百年は普通で、千年を超える建物もあります。
改築と補修を繰り返し、今も私たちの目の前に存在しています。
仏壇も同様に、百年程度のものならかなりの数が残っているでしょう。
金仏壇は悪くなっても処分することはせず、「お洗濯」と言って新品同様に生まれ変わらせることができます。
これが何代にも渡り、受け継ぐことができる理由です。
では、唐木仏壇やモダン仏壇はどうでしょうか?
こちらは「お洗濯」できるものと、できないものがあります。
昔からある伝統的な形の唐木仏壇なら「お洗濯」可能です。
しかし、木目がプリントされた印刷紙を貼った仏壇や、水を含むと膨らんでしまい、元に戻らない様な木地を使っている仏壇はお洗濯できません。
せいぜい、汚れを拭き取る程度でしょう。
だからと言って、金仏壇を選びなさい、と言ってるわけではありません。
最近は仏壇の処分や、買い替えが多い時代です。
何世代にも渡って引き継ぐことができない事情が多くなりました。
あなたやその家族の考え方、今後仏壇をどうしていくつもりかなどで、どのような仏壇にしたらいいか選択していきましょう。
仏壇選びで失敗しないための4つのポイント【実店舗編】
では、どのように仏壇を選べばいいのでしょう?
ここでは、仏壇を選ぶ際のポイントをいくつかあげたいと思います。
細かいことを言い始めたらキリがないので、ワンポイントに絞りました。
それは、
「信頼できるところで選ぶ」
です。
そんなことか、と思われたかもしれませんが、これ、結構大事なので、頭の片隅にでも残しておいてほしいです。
「仏壇のことは何もわからないので、下見がてら仏壇店へ行ってみるか」となりませんか?
そのお店がこちらの話も聞かず、
「今なら8割引きですよ」
「今日決めて下さい」
と言ってくるようなら、すぐに店を後にしましょう。
仏壇業界も景気がいいわけではありません。
ガツガツくる店員がいるかもしれませんが、こんな態度の人がいるお店は今後のことも考えてやめた方が賢明です。
仏壇は買った後のフォローも大事になってくるからです。
では、信頼できるお店とはどんな店なのでしょう?
1.)こちらの話を聞く姿勢である
初対面である、あなたと店員です。
まず、こちらの事情を親身に聞いてくれる店員さんであることが絶対条件です。
「何のために仏壇が必要なのか」「大きさは決まっているのか」
「どんな形が希望か」「予算はどれくらいか」「どこに安置するつもりか」
こんな具体的なことを聞いてきた後に仏壇を勧めてくる店員さんは、信頼していいでしょう。
2.)押し付けてこない
仏壇店には何十基も仏壇が置いてあります。
話をしていて、「じゃあ、これですね」と一つの仏壇を指定してきた場合はちょっと待って下さい。
あなたがそれを気に入ればのいいですが、店に並んでいないものをカタログで注文できたりします。
そこを突っ込んでみて、気持ちよく対応してくれる店員さんなら信頼できるお店でしょう。
3.)知識が豊富
仏壇だけでなく、仏具や宗派にも精通している店員さんなら、今後困ったことが出てきたときに色々アドバイスをもらえます。
4.)長所・短所を教えてくれる
仏壇にはそれぞれ長所・短所があります。
例えば、家具調仏壇やモダン仏壇はお洗濯できないとか。
購入前に詳しく伝えてくれる店員さんなら信頼していいでしょう。
お店や店員の良し悪しは、一度お店に行ったくらいではわかりません。
3軒くらいお店を回ると、どの店が信頼できるか、相性が良かったかがわかってくると思います。
仏壇を買ったお店とは、一生つき合うことになると思っていいです。
修理や位牌のこと、法要のことなどを相談することになるからです。
信頼できるお店を見つけることが、仏壇選びの第一歩になるでしょう。
ネットショッピングの場合の仏壇選び
ネットショッピングの場合、実際に現物を見ることはできず、店員とも直に話せません。
どうやったら信頼できるお店と判断すればいいのでしょう?
わかりやすいのはレビューです。
実際そのサイトで購入した人の評価が掲載されていれば、それを基準にしましょう。
レビュー数が少なかったり、悪い評判ばかりだったり、逆にいい評価しかないのも少し疑ってかかった方がいいです。
今ではお金を払って高評価をもらう悪質なサイトもあると聞きます。
あと、メールでの問い合わせの返信が早かったり、的確な返答なら信用していいと思います。
現物が見られない分、ネットで買う場合は返品保障や補償内容をよく確認しておくといいでしょう。
又、実店舗があり、ネットでも販売しているような店なら、急に連絡が取れなくなったりすることは少ないので信頼性が上がります。
仏壇が高いと感じるのはなぜか
仏壇の相場には幅があり、小さいものなら2万円台で買えます。
しかし高級品になると数百万円するものもあります。
仏壇自体になじみがないこともありますが、一般的な感覚からいうと「仏壇は高い」と感じる方が多いはずです。
しかし、こう言われたらどう感じるでしょう。
例えば、100万円の仏壇を買ったとします。
50年使い続けた場合、1年2万円です。
単純計算ですが、年間2万円で仏壇が手に入るのです。
長い目で見ると特段高い買い物ではないと思いませんか?
とは言っても、仏壇選びは慎重に、時間をかけて検討していただきたいと思います。
故人の思い、家族の総意のもと、皆が納得できる仏壇を決めましょう。
これは仏壇に限ったことではありません。
一戸建てを買おうと思った時、「この家下さい」といきなり買う人はいないでしょう。
何度も下見をし、同等な条件の物件と比較すると思います。
一生に一度の買い物であるからこそ、じっくり検討するでしょう。
仏壇もこれと同じ心構えが必要です。
では、実際なんで百万円以上する高額な仏壇が多いのでしょう。
それは、数多くの職人の手が入り、手間ひまかけて作られているからです。
先程も述べましたが、特に金仏壇は工程により分業制なので、多くの人の手が必要になります。
しかも、伝統工芸品としての側面も持つので、手作業の部分が多く、時間もかかるのです。
金仏壇ではない唐木仏壇も、形は金仏壇と変わらないため手間がかかっています。
塗りや金箔押しの工程がない代わりに、黒檀や紫檀といった高級な木材を使用しています。
では、現在主流になりつつある、モダン仏壇はどうでしょうか?
金仏壇に比べると宮殿もなく、かなり省略されていることがわかります。
材料もMDFや合板と、原価が安いものが多いです。
しかし、このモダン仏壇は何十年と同じカタチの物を作り続けているわけではありません。
カタチには流行り廃りがあるので、人気の無いカタチはすぐ廃盤となります。
すると生産コストが高くつきます。
それを見越してメーカーも価格設定を高くしているのです。
数多くの種類があり、選べるメリットはありますが、この様なデメリットも生まれてしまっています。
いくらの仏壇を買うべきか
では、いくらの仏壇を買うのがいいのでしょうか?
高額になることはお伝えしましたが、予算にも限りがあるでしょう。
本来、仏壇とは仏様を想う心があればいくらの仏壇でも、どんな大きさでも構いません。
でも、
なので、仏壇にいくら使うべきか考えながら決めていきましょう。
私が思うに、仏壇の予算設定の決め方はこの3点です。
・大きさで決める
・種類で決める
・何年使う予定か想像する
大きくなればそれだけ値段も上がります。当たり前ですね。
置く場所によってサイズも変わるので、予算を少なくしたければ【上置き仏壇】を検討しましょう。
種類には【金仏壇】【唐木仏壇【モダン仏壇】と、3種類に分けられます。
大きさが同じなら、
モダン仏檀<唐木仏壇<金仏壇
が一般的な相場です。
10年しか使うつもりがないのであれば、何百万もする仏壇を買う必要はないでしょう。
逆に、3世代以上使い続けてほしいと思うなら、修復ができる金仏壇や唐木仏壇がいいと思います。
まとめ
確かに、高級な仏壇には間違いなく大変な価値があります。
見ていると圧倒される神々しい仏壇も存在します。
しかし、みんながみんな、高価なものを買う必要はありません。
安い仏壇でも構いません。
今は安い仏壇しか買えなくても、何年後かに立派な仏壇に買い替えてもいいでしょう。
先ほども言いましたが、結局、心の問題なのです。
自分の予算に合った仏壇を選んでください。
真剣に考え抜いた仏壇なら、後悔することもないでしょう。
さらに具体的な選び方をこちらで詳しく紹介しています。
こちらもあわせてお読みいただいて、よりよい仏壇に巡り合えますように。
はじめまして、仏具問屋といいます。10年以上、仏壇仏具の卸問屋に勤めています。 現在も日々勉強中ですが、少しでも皆さんの、「仏壇や仏具の心配事」がなくなるように、頑張ります。 […]