はじめまして、仏具問屋といいます。
10年以上、仏壇仏具の卸問屋に勤めています。
現在も日々勉強中ですが、少しでも皆さんの、
「仏壇や仏具の心配事」がなくなるように、頑張ります。
今回は、
仏壇を選ぶ時、初めに思うであろう【疑問】とその【回答】を主にまとめました。
具体的には、
・仏壇が必要になったが、どう選べばいいのかわからない(置き場所、部屋との調和、予算)
・どんな種類があるのか知りたい(モダン仏壇、金仏壇、唐木仏壇など)
・いくらぐらいが相場なのか知っておきたい(2万円位から1000万円以上)
などの、仏壇選びに必要な基本的な情報がまとめてあります。
むずかしい話や仏壇の歴史みたいなことはナシにして、
実際に買うときに必要な知識のみを順に解説していきます。
仏壇は安くない買い物です。
きっと、故人のために買おうと思っている方が多いのではないでしょうか。
故人の、そして自分のためにも後悔のない仏壇選びをしていきましょう。
まず、仏壇をどこに置くか決めましょう
初めて自分の家に仏壇を入れる時、どこに置いたらいいかでまず悩むと思います。
仏間が有ればいいのですが、最近の住宅事情では仏間がないケースがほとんどです。
そこで、仏壇は皆さんが身近に感じる場所に置くことをオススメします。
実際、家族が集まる居間やリビング、寝室に置かれている方が大半です。
たまに方角のことを気にされる人がいますが、結論から言うと特に決まりはありません。
決まりはないのですが、「ここは避けたほうがいいよ」というのが3点ほどあります。
理由は、日差しが強いところに置いておくと劣化が早くなってしまうからです。
これは仏壇に限ったことではないですね。
理由は仏壇にお参りする際、お尻を神棚に向けることになってしまうからです。
神様に失礼ですからね。逆も同じです。
場所の都合で、神棚の下に仏壇を置こうと思うかもしれませんが、おすすめしません。
神様の下に仏様がくることになりますよね?
どちらも手を合わせるべき対象なのに、上下関係があるように見えてしまいます。
もちろん逆も避けた方がいいです。
置く場所の横には何か置いてありますか?
置く場所が決まったら寸法を測っておきましょう。
特に横巾には注意してください。
仏壇は扉を開けてお参りをします。
そのため左右にゆとりがないと扉が開けづらく窮屈になってしまいます。
仏壇の「幅4分の1」以上を左右あけて、何もぶつからないようにしましょう。
床の上に直接置く場合
床の上に直接仏壇を置くときは、仏壇の背の高さに気を配るようにしてください。
なぜなら、高さが低すぎると仏様やご先祖様を見下げてしまうことになるからです。
お参りするときは大抵の人は正座か、椅子に腰かけると思います。
その時の状態で仏様や御先祖様が目線より下では礼を欠いています。
床に直接置く場合は、総高さで120cmは欲しいですね。
最近需要が多いモダン仏壇では椅子付の仏壇もありますので、興味のある方は探してみてください。
家具の上に置く場合
最近よく見かける小型の仏壇は、タンスやローボードの上に載せます。
こちらも座った時に目線より上に仏様などが見えるようにしましょう。
仏壇の種類は基本3種類
仏壇を置くスペースを確保したら、次はどんな仏壇にするかを決めていきましょう。
「家具調仏壇」、「金仏壇」、「唐木仏壇」などと呼ばれるものが現在の主流です。
家具調仏壇・モダン仏壇・都市型仏壇
家具調仏壇とは、近年数多く作られるようになりました。
生活スタイルが変わり、和室や仏間がなくなったのが現状です。
そこで、洋間やリビングに置いても違和感のない仏壇が登場しました。
それが「家具調仏壇」「モダン仏壇」「都市型仏壇」と呼ばれるものです。
材質にはいろいろなものが使われています。
芯材に木材を使うものもあれば、MDFという合板を使ったりします。
表面には天然の薄い板を貼ったり、木目を印刷した紙を貼ったりしています。
表面に直接塗料を吹く付けるものまであります。
もちろん生産地、原材料や加工工程、手間によって価格は変わります。
産地や主原料は、仏壇店でも、ネットショッピングでも必ず表示してあるので、確認しておきましょう。
逆に、表示してない所では、買わない方が無難です。
金仏壇・伝統型仏壇
金仏壇とは、黒く塗られた仏壇に金箔が施された仏壇を言います。
仏壇といえばこの金仏壇をイメージされる方が多いのではないでしょうか。
この金仏壇には有名な産地が多くあります。
京檀(京都)、彦根檀(滋賀)、名古屋檀(愛知)などなどもっとあります。
皆さんの地元も仏壇の産地かもしれませんよ。
洋間には合わないと敬遠されがちですが、
最近ではデザインもおしゃれになったものが出てきたり、小さくても豪華な造りのものがあります。
決して洋間に似合わないわけではありません。
クールジャパンの伝統文化は、どこに置いても「cool」です。
唐木仏壇
唐木仏壇は主に、黒檀・紫檀・などの輸入木材を主原料に作られています。
徳島や静岡、東京が産地として有名です。
落ち着いた印象を持つ唐木仏壇は宗派を問わず人気です。
仏壇の形についてのまとめ
どんな仏壇がしっくりくるか、イメージはできたでしょうか?
最近の傾向では【家具調・モダン仏壇タイプ】が主流になりつつあります。
特に都心部では、9割以上がこのタイプだと聞きます。
「大きい仏壇を入れるスペースがない」
「次に見守ってくれる子供のためにも小さい方がいい」
「ケアホームへ入るので持ち運べるものがいい」
と、このような事情がある方がよく購入されています。
モダン仏壇は、種類が豊富で毎年のように新作がメーカーより発表されています。
予算で選ぶと、仏壇はどれになるか?
このように仏壇にも数多くの形や大きさ、材質に違いが有ります。
「ちょっとこれ気になる」というものはありましたか?
まずは、色々なサイトで調べてみることをオススメします。
仏壇店をのぞいてみるのもいいですね。
そうするとだいたいの相場が見えてくると思います。
「サイズ」と「金額」と「お気に入り」が一致したら何も言うことはありません。
が、そううまくいくとは限りません。
小さくてシンプルなものなら、2万前後で手に入れることができるでしょう。
最近ではホームセンターや大手家具メーカーまでが仏壇業に参入してきています。
こだわりがなく、予算重視の方は選択肢にいれてみてはいかがでしょうか。
予算別でどのような仏壇が選択肢に入ってくるかをまとめました。
もちろん、購入先や、商品によっては該当しないものがあります。
あくまで目安としてお考え下さい。
5万円が予算の場合
5万円程度の予算ですと、上置きタイプのモダン仏壇が品ぞろえも多く、いいかと思います。
ただし、サイズは小さくなります。
10万円が予算の場合
10万円ほど出せれば、大き目の上置きタイプが選べますし、台付のモダン仏壇を選ぶことができる可能性も。
唐木仏壇の上置きタイプならこの予算で選べます。
30万円が予算の場合
30万円が予算なら、上置きタイプの仏壇ならおおむね選び放題でしょう。
伝統型の絢爛豪華な金仏壇の上置きタイプもこの価格帯です。
50万以上が予算の場合
上置きタイプだと予算が余ってしまうでしょう。
伝統型の金仏壇も手が届きます。
モダン仏壇なら、選択肢が大幅に増えます。
100万円以上が予算の場合
好きなものを自由に買いましょう。
ここで気をつけてほしいこと
一つ注意していただきたいのが、これはあくまで仏壇本体のみの価格だということです。
仏壇はこの他に、仏具一式、本尊(掛軸や仏像)、が必要になります。
総額での予算も考慮して、仏壇選びをしていきましょう。
いつ買うのがベストタイミングか?
結論から言うと、いつ買ってもOKです。
こういうと、
「仏壇を買うとだれか死ぬんじゃないか」
「死んだ人がいないのに買うなんて縁起が悪い」
と言われますが、そもそも仏壇とはお寺を模したものです。
「お寺でお参りすると誰か死にますか?」
「お寺に行くと縁起悪いですか?」
ということです。
しかし、そうは言っても身内に不幸があった時に買う人が多いのが現実です。
その時は、四十九日法要の前には用意しておくといいでしょう。
なぜなら四十九日までは仮の祭壇と白木の位牌(野位牌)を使い、その後は仏壇と本位牌を揃えることになるからです。
ここで、仏壇を慌てて買う時に起こりうるデメリットを紹介します。
デメリット
●仏壇の比較に時間が足りない。⇒⇒買ったあとで後悔する可能性がある。
●大きさ・種類・価格で家族、親族ともめる場合がある。
慌てて決める買い物にはデメリットしか思いつきません。
どんな買い物でも同じことがいえると思います。
逆に、時間を掛けて選び、自分のために仏壇を買っておくという人もいます。
核家族化が進み、仏壇を持っていない世帯は、日本の世帯数の半分ほどだと言われています。
いかに自分のために買わないかがわかる数字です。
両親と話し合わないとね。
生前に仏壇を決めておくと、こんないいことがあります。
メリット
◎身内に相談しながら決めることができる。⇒⇒納得の買い物ができる。
◎時間に余裕があるので、仏壇の相場を調べられる。⇒⇒納得の買い物ができる。
このように比較してみると、生前に買ったほうがメリット多いです。
また、子供に金銭的負担を負わせたくないという方もいます。
仏壇はいつ買うとお得なのか?
仏壇をお得に買える時期というのもあります。
8月のお盆や、お正月などの、仏教行事の節目です。
新聞広告やチラシが入り、お盆セール、年末セール、お彼岸セールなどを打ち出す仏壇店が多いです。
宗派を知ってきましょう
仏教には宗派がいくつかあります。
ご自身の宗派を知らないならご両親か、身内に確認しておきましょう。
昔は、浄土真宗大谷派なら金仏壇、曹洞宗などは唐木仏壇などと言っていました。
しかし最近では、
「仏壇に決まりなし」の状態になっています。
なので、好みの仏壇を選んで構わないと思います。
ただし、本尊や脇侍は宗派に沿ってください。
仏具もなるべく宗派に合わせた方がいい、と個人的には思っていますが。
どこで買えばいいのか?
ここまで色々と話してきましたが、では実際どこでいい仏壇に巡り合えるのでしょうか。
仏壇は高価な買い物です。
大きさは同じでも、作り方や産地、原材料によって金額に大きな差が出ます。
2万円で買えるものもあれば、1000万円以上するものもあります。
いいものなら、大事に使えば何世代にもわたって使い続けることができます。
小さな妥協はせずに、どこで買うべきか慎重に決めていきましょう。
今の時代では、仏壇店に足を運んで買うか、ネットショップで買うかの2択になります。
それぞれの気を付けるポイントをまとめてみました。
仏壇店(実店舗)で買う時のポイント
2.)商品説明(産地、材質など)が表示してあるか
3.)保証がしっかりついているか
1.)店員の対応は良いか
対応してくれる店員さんとの相性も大事になります。
ぶっきらぼうな人。笑顔がない人。声が小さくて聞き取りづらい人。こんな店員さんからは買いたくないのが人情ですよね。
実際にこういう店員さんいますから。
気さくに話しかけられる店員さんに出会いましょう。
2.)商品説明(産地、材質など)が表示してあるか
現在、約450の仏壇店では「仏壇公正取引協議会」に加盟しており、商品の表示義務があります。
安心のため、仏壇の商品説明が表示してあるお店をおすすめします。
店舗のわかりやすいところにステッカーが貼ってあるはずです。
個人経営の店では加盟していない場合があります。
3.)保証がしっかりついているか
〇年保証などのアフターサービスが充実している店が安心です。
内容のチェックも忘れずに。
オンラインショッピングで買う時のポイント
2.)返品対応はしているか
3.)メールなどでの問い合わせに対応しているか
1.)商品の写真は多いか。説明書きは細かく記載されているか
ネットショップで買う時の一番の心配は「写真と同じ物が届くか」でしょう。
実店舗と違い、本物を見ることができない分、写真や商品サイズなどの情報はより多いほうがいいです。
2.)返品対応はしているか
購入後、もし商品写真と違うものが送られてきたり、不良品だったり、表記サイズと違っていたら返品できるか確認しておきましょう。
悪質なサイトだと返品不可や連絡が取れなくなったりします。
3.)メールなどでの問い合わせに対応しているか
疑問に思った時、問い合わせにすぐ対応してくれるなら仏壇知識の豊富な人がいる証拠です。
店によっては仲介するだけで、商品在庫を持たないサイトが有ります。
それぞれのポイントを踏まえ、まとめると、
【実店舗】がオススメな人
「購入から設置まで、全ての段取りをしてほしい」
実店舗のメリット
店員さんと相談しながら商品を見て選ぶことができる
実店舗のデメリット
店の品ぞろえ分しか比較できない
【ネットショップ】がオススメな人
「費用をなるべくかけたくない」
ネットショップのメリット
全国から商品を探すことができる
ネットショップのデメリット
実際に仏壇を見ることができない
まとめ
仏壇を選ぶ際の参考になったでしょうか?
仏壇は一人で買うものではなく、家族、親族と一緒に買うものです。
みんなと相談しながら、後悔のない仏壇を見つけて下さい。