【仕事の話】日蓮の台座を新調しました。

彩色日蓮の仏像の既製品は身の丈3寸までが一般的です。

今回は5寸用の台座の注文なので一から作製しました。

 

ちなみに、日蓮上人の基準寸法は足元から眉間までの高さです。

台座は含みませんので、仏壇に祀るときは注意してください。

 

日蓮本体はお客さんの所にあるので、奥行きや幅を紙に写し取って送ってもらいました。

日蓮の写し

こうすることで、収まりがいい台座ができます。

 

高さも指定があったのですが、バランスは職人におまかせしました。

変に細かいところまで指定すると現物を見たときアンバランスになったりします。

 

素人が考えるより本職にお任せするのが一番です。

 

日蓮の彩色には一般的に彩色するものと、特に繊細に彩色する【京型】という2パターンあります。

【京型】になると、台座正面の透かし模様や畳の描き方も一手間掛けられています。

日蓮の袈裟の柄も緻密に描かれています。

もちろん顔立ちもより威厳があり、男前になります。

今回の台座は、通常仕上げです。

 

木地が仕上がってきたら次は塗師に回します。

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日蓮の台座木地組み立て前

台座はバラバラになり組み立てられるように作られています。

以後の作業をしやすくするためです。

 

今回はカシュー塗料で塗ることになりました。

塗りの厚みでうまく組み立てができなくなってはいけません。

なので、マスキングテープで接合部は保護しています。

カシュー塗料で塗装した日蓮の礼盤

畳の彩色は彩色の職人へ持っていきました。

塗師には、畳部の下地処理のみをしてもらっています。

 

こうしてもらうと、絵の具が木地に染み込まず、発色もよくなります。

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同時進行で金箔を押してもらいます。

全てが揃ったら組み立てをして完成です。

 

 

台座一つを新調するのに【木地師】【塗師】【箔置き師】【彩色師】がかかわっています。

 

仏壇と同じく、仏像も分業になっています。

 

今回、日蓮本体は触らずに台座のみの新調でした。

どんなお姿なのか見てみたかったです。

納めた時、お客さんが気に入ってくれるといいのですが。

 

 

実は、日蓮の台座新調と同時に、三宝尊の修復もしていました。

三宝尊はある仏像工房にお願いしました。

ここへ頼むと一から十までしてくれるので私がすることは何もありません。

 

仕上がりが綺麗なのでいつもここにお願いしています。

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何で日蓮の台座はそれぞれの職人に分けたかというと、納期がなかったからです。

 

一度丸投げ(言葉が悪い)しようとしましたが、2ヶ月以上かかると言われてしまいました。

これでは指定された納期に間に合わないので分業体制をとりました。

 

納期や予算によって臨機応変に動くことが多いです。

 

三方尊の下台(三方金)

三方尊の下台も新調しました。

日蓮が5寸と大きいので、後ろにくる三方尊が隠れてしまわないようにするためです。

ほとんど見えなくなりますが、三方金仕上げです。

お客様からのリクエストです。