経机とは・・・
仏壇の前に置いて、仏具や経本を置いておく机のことです。
経机という名からもわかるように、経本を置いて読経したり、写経をしたりする勉強机のようなものでした。
しかし、時代が変わるとともに、仏具を置いたり、数珠をしまったりする何でもありな机として使われるようになりました。
経机の【基本の形】の解説
一般的な経机の形を紹介します。
大きさは、尺2(約36センチ)から2尺(約60センチ)があります。
これは天板の横幅のサイズです。
もっと大きい2尺2寸や2尺5寸などもありますが、製造数はとても少ないです。
経机の特徴の一つに、【筆返し】というものがついています。
これは、机の両端に付いている出っ張りのことです。
そんな時、使っていた筆がコロコロ転がり落ち、畳を汚さないようにするための工夫です。
お寺で写経体験をする機会があったら筆返しの必要性を感じることができるかもしれません。
その筆返しですが、【鳩筆】と【角筆】の2種類があります。
形状の違いだけで、用途は同じです。
正面には引き出しが付いています。
ここには数珠を入れたり、線香やロウソクの予備を入れている方が多いです。
引き出しや机の横側に金箔で雲みたいな模様の装飾があります。
これは【木瓜(もっこう)】【格狭間(こうざま)】などと呼ばれています。
普段使っている机はまっすぐな脚なので丈夫ですが、経机はその形状から丈夫とはいえません。
「よっこらしょ!」と手をついて立ち上がろうものなら、ボキッと折れ、怪我の元にもなるのでやめておきましょう。
これが経机の基本な形となります。
しかし、今では仏壇の形が変わっているのと同じように経机もさまざまな形があります。
基本を踏まえたうえで、新しい形の経机を一部ご紹介します。
経机の種類
・昔からある塗りタイプ
・唐木色のタイプ
・折りたためるタイプ
・椅子に座って使用するデスクタイプ
ほとんどの方が、仏壇を選んでから経机をお考えになると思います。
その場合、仏壇に合わせた色、形にすると統一感が生まれます。
昔からある塗りタイプ
この経机は、金仏壇をお持ちの方にオススメします。
先ほど紹介した形の、いわゆる【経机】です。
実は、この塗りの経机は2種類の形があります。
細かいことなので、興味がなければ読み飛ばしても構いません。
【新型】と呼ばれる経机と【中京型】と呼ばれるものがあります。
写真を見ていただくと違いがわかると思います。
画像クリックで拡大
基本的に新型のほうが安価になっています。
「机があればいい」と思われるなら、【新型】の経机でいいでしょう。
唐木色のタイプ
唐木色をした経机はやはり唐木仏壇につけましょう。
唐木には「紫檀」「黒檀」「鉄刀木(たがやさん)」「ケヤキ」などがあります。
仏壇の色に合わせますが、一つ注意点があります。
例えば、「紫檀」といっても全く同じ色で揃うことはない、と思っておいてください。
どうしても同じ色にこだわるのなら、買った仏壇と同じ製造メーカーが作っている経机を探すといいかもしれません。
それでも色目が同じかどうかはわかりません。
それほど、完全同色というのはかなり難しい要求になると知っておいてください。
唐木の経机には、
芯材に木材の色を着色した【○○色着色】
木目を印刷した紙を貼り合わせたもの【○○調】
唐木の板を貼ったもの【板貼り】
全てを唐木材のみで作られた【総無垢】
があります。
想像される通り、着色や印刷紙を貼ったものが安く、総無垢は高額になります。
折りたためるタイプ
普段は押し入れにしまっておき、法要のときだけ取り出して使うことができます。
このタイプは小型の仏壇や上置き仏壇と相性が良く、現代の住宅事情にもマッチします。
色も、黒色からモダン仏壇に合うお洒落な色までそろっています。
正確に言うと、経机ではなく【お供え机】と言いますが、引き出しと筆返しがなくなるだけの違いなので、名称にこだわる必要はありません。
使い勝手を優先していきましょう。
椅子に座って使用するデスクタイプ
上置き仏壇を台やタンスの上にのせていると、お勤めをする時、立ってされている方が多いでしょう。
そんな時デスクタイプの経机を仏壇の手前に置くと、椅子に腰掛けて日々のお勤めができます。
普通のテーブルならどこにでも安く売っていますが、これは、仏壇の前に置くために特化しているので、スリムな形状で、省スペースとなり、日常生活にも支障は少ないです。
椅子は専用のものもありますが、普段から使っているもので十分です。
上置き仏壇の中をスッキリさせたい方にオススメです。
スリム型経机 供物台 虹夕[高]20号 幅60cm 高61.8cm シート貼鏡面仕上げ 【組立式】【hikari】 (ウォールナット調)
経机のサイズと選び方
先ほども少し述べましたが、経机の基準寸法は天板の幅になります。
尺2(約36センチ)から2尺(約60センチ)が一般家庭用です。
『仏壇がこの大きさだから経机はこのサイズ』、と言う決まりはありません。
机の上や中に何を置いてどう使うかを考えて、サイズを決めましょう。
ただ、そうは言ってもても「わからない」という方も多いかと思います。
そこで大まかな目安ですが、こんなバランスにすると違和感ないと思います。
仏壇の総巾 | 経机のサイズ |
50cm以下 | 14号以下 |
50~60cm | 16号 |
60~70cm | 18号 |
70cm以上 | 20号以上 |
スペースの問題で置けないこともあるでしょうから、住居環境に合わせてサイズを変えていって構いません。
又、経机にのせるものを想像しておくと、サイズを選びやすくなります。
香炉、ロウソク立て、花立、おりんを置くだけなら小さめの経机で十分でしょう。
さらに、お供え物の台や経本、線香差、マッチ消しなど多くをのせるつもりなら大きめを初めから用意したほうがいいと思います。
たくさんの小物があるなら「引き出し付」を選ぶのもオススメです。
ちょっと、話が逸れますが、ちょっと大きな家具調仏壇には、【経机付き】という商品もあります。
下台の中に収納できるようになっていて、必要なときは中から引き出して使います。
これなら新たに机を買う必要がなく、サイズや色の心配をすることもなくなります。
経机の使い方
まず、仏壇の正面に置きます。
個々で仏具が違うので、一概には言えませんが、普段から使うものを置いておきます。
具体的にいうと、「おりん」「香炉」「ロウソク立て」「花立」「経本」やそれに付随する小物類です。
いただいたお供え物を置くことにも使われます。
引き出しが付いていれば、「数珠」「線香、ロウソクの予備」「大切なもの」をしまっておくと、ゴチャゴチャしません。
経机の前に座ってお参りするのですが、正座がつらかったり、足を曲げるのもしんどい方も多いでしょう。
私の母もひざが痛いそうで正座ができません。
そんな時は、背の低い椅子を使ってみましょう。
楽な姿勢でゆっくりお参りできることが一番です。
お座敷椅子という便利なグッズもでています。
【経机掛け】のこと
ロウソクや線香で火を扱いますので、燃えカスが落ちたり、溶けたロウで汚れてしまうことも多いです。
なので、経机には専用のマットがあります。
経机掛けのほとんどが難燃性の素材なので、例え火のついた線香が倒れても、すぐに燃え広がることはありません。
傷防止にもなるので、経机を買ったらついでに経机掛けも揃えておくといいでしょう。
種類や柄も豊富にあります。
好みの一枚を探してみるのも楽しいですよ。
高価なものは必要ないので、性能重視でいいかと思います。
経机掛けを仏壇本体に敷くことも可能です。
別注になりますが、寸法通りに縫製することができます。
曲線にも対応しているので、柱や、微妙にカーブした棚に合わせることも可能です。
全ての棚に経机と同じ敷物が敷いてあると、統一感があって綺麗です。
できる素材とできない素材があるので、興味のある方は一度仏壇店やネットショッピングのサイトで問い合わせてみるといいでしょう。
まとめ
経机を使うメリットは、仏壇の中に多くの仏具を入れずに済むので、仏壇内部がスッキリします。
また、経机にのせる事でお勤めが楽になります。
デメリットは、場所をとることです。
せっかく上置き仏壇にして省スペースに収まったのに経机で場所を取っていては本末転倒です。
そんな時は折りたたみ式の机を検討しましょう。
法要のときだけ出して、日常ではしまっておけます。
サイズに決まりはないので、自身の用途に合わせて決めていきましょう。