昭和初期の頃では、大抵の家庭に仏壇がありました。
しかし、平成、令和になり、仏壇を持つ家が少なくなっています。
現代社会に置いて、仏壇は必要なものか?
こんな時代だからこそ存在意義があるのではないか?
仏壇の購入を考えていたり、ためらっている方へ向けて話していこうと思います。
私は仏壇仏具の卸問屋に勤めて10年以上がたちます。
このわずか十数年でも感じることができた仏壇の変化を伝えます。
仏壇に求められていること
あなたは仏壇に何を求めますか?
「両親が亡くなったので、位牌を入れるための箱」
「小さくて安ければどんなものでもいい」
多くの方は、位牌を入れる箱程度に思っているかもしれません。
ここで、仏壇の役割について考えていきます。
仏壇とは、家族の絆を深めるのに大事な役割がありました。
あえて、過去形で書きました。
昔はあったが、今はないと考えているからです。
なぜか?
核家族化や一人親世帯が増え続ける現代の家庭では、一家全員がゆっくり向き合うことが難しくなりました。
朝ごはんも別、夕飯も別も珍しくはないでしょう。
そんな中でも、仏壇にお参りすることで、
「仏様やご先祖様のおかげで自分が生を受け、幸せな人生を送れている」
と感謝の心が育まれます。
週に一回でもいい。
夕飯の前に家族そろって仏壇に手を合わせる習慣があれば、とても貴重な時間になるはずです。
しかし、それすらも難しいということもあるでしょう。
そんな時は、自分だけでもお参りしていれば、それを見ている子供たちに自然と「感謝」「尊敬」の心が生まれます。
目上の人に対する礼儀もわかってくるでしょう。
親の背中を子供に見せることで、子供の心の教育にとてもいい影響が出るはずです。
最近では「親が子供を虐待」「息子が母親をナイフで刺す」などの凄惨なニュースが目立ちます。
「仏壇があればこんな問題はなくなる」とは言いません。
しかし、仏壇を囲む家庭には、【絆が芽生え】、【お互いを尊重しあう関係になることが多い】と感じるのは、私だけではないはずです。
今でも、仏壇は家族の絆を深める大事な役割があると信じたいし、信じています。
核家族が多くなり仏壇も減っていく?
地方から上京し、そこで家庭を持つと、どうしても夫婦と子供だけの家庭になります。
こういった家庭では仏壇を持つことまずはないでしょう。
実家の親が亡くなったり、伴侶が亡くなった時に、仏壇の必要性が出てくると思いますが、誰も亡くなっていないのに仏壇を購入する人は稀です。
このような理由から、自然と仏壇の数が減っていったのもうなずけます。
しかし、核家族化が始まったのは高度経済成長期の時代です。
その当時若者だった方は現在60を過ぎ、第二の人生を謳歌しているかもしれません。
もしかしたら、ご両親が亡くなり、仏壇を購入された方もいるのではないでしょうか?
つまり、核家族となっても、大切な人を祀るために仏壇を手に入れることは、日本人として普通のこととなっているのです。
もちろん仏壇の形は住居環境によって変わるでしょう。
ただ、核家族が増えたから仏壇が減っているという結論にはならないわけです。
仏壇を買うタイミング
あなたの御両親、または伴侶が亡くなったと考えた時、次はだれが自然な順番でしょう?
あなたかもしれません。
人間は誰にでも死が訪れます。
そうなったときに、子供に経済的な負担をかけさせたくないと思うのは自然な感情です。
近年、ご自身の仏壇を買う方が増えてきています。
お盆やお正月に家族が集まった時、みんなで仏壇店へ行って相談しているのを見かけます。
仏壇とは、決して誰かが亡くなってから買うべきものではないのです。
そもそも仏壇は、お寺を小さくして、家に入れたものです。
家に仏様がお見えになるんですから、縁起がいいなんてもんじゃないですよね。
いつ買っても、どんな大きさや形をしていても仏壇は仏壇。
必要と感じた時が買うタイミングです。
「家が狭いから仏壇は置けない」という言い訳
「ただ、置き場がなくて」「置く和室がないんです」
こんな話をよく聞きます。
実際、私も核家族でマンション暮らし。仏間もありません。
痛いほど気持ちがわかります。
おっしゃる通りです。
養育費にお金がかかるし、仏壇なんてまだまだ・・・。
こうした事情の方のために、今では様々な仏壇が製造されています。
タンスの上や、テレビの横に置いておける上置き仏壇です。
安いものでは2万円程度からあります。
仏具や位牌をそろえても5万円でおつりがきます。
どうですか?
1回家族旅行を我慢すれば、何十年も使える仏壇が手に入ることがわかっていただけたでしょうか?
和室がないので仏壇をためらっている方もいるでしょう。
最近は、洋間に合うオシャレな仏壇が数多く販売されています。
仏壇と言うと、金箔が押してある絢爛豪華なものをイメージされるかもしれませんが、金仏壇は数を減らしています。
住宅事情がかわり、純和風のものが敬遠されているのは事実です。
ただ、本当に洋間に金仏壇が似合わないのか、というとそうでもありません。
伝統工芸品の側面を持つ仏壇には、日本人の美意識が詰まっています。
洋間だから似合わないというには拙速だと思います。
ある人にとっては「洋間にこそ金仏壇だ」と、思うかもしれません。
感じ方は人それぞれです。
周りに流されず、ご自身の価値観を大切にしてください。
まとめ
「今の時代、仏壇は必要か?」
の答えは、
【今の時代だからこそ、仏壇は必要】
ではないでしょうか?
ご家族と話す機会をお持ちいただけると幸いです。