灯篭とは、早い話が【仏壇内部の照明】です。

灯篭(とうろう)とは

灯篭は、仏壇内部を照らす明かりです。

ロウソクも同じく明かりとして用いますが、より照明としての色合いが濃いものになります。

 

仏様に近いので、お顔やお姿を明るくすることができるのが灯篭です。

 

仏教の教えでは、具足と言って

花立(お花を生ける)

香炉I(お香を焚く)

ロウソク立て(明かりを灯す)

 

が重要視されています。

 

なぜ明かりが重要な一つにされているかというと、

仏教では、『灯は人間の苦しみを生み出す「無明の闇」を照らす』と教えています。

 

つまり、人間の嫌な部分を消し去り、常に前向きで善き人になりましょう、と言っているのです。

 

また、故人が極楽へ行くときの道しるべとしての意味合いもあります。

 

お盆の時の迎え火や送り火も火を焚きますよね?

これも、ご先祖様が帰ってくる目印になっています。

 

最近主流となりつつある、モダン仏壇や家具調仏壇には、仏壇内部にダウンライトが標準装備されているので、灯篭を付けること自体が少なくなっています

灯篭の種類を紹介

院玄灯篭

アルミ本丸型灯篭正面
アルミ製 新丸型灯篭

院玄灯篭(いんげんとうろう)は主に浄土真宗以外で使います。

隠元灯篭と書くメーカーもあります。

もちろんどちらでも構いません。

 

仏壇の天井から吊るすタイプの灯篭です。

 

火袋は丸型と、下部をすぼめた縦長の形(夏目型)が一般的です。

 

その火袋には、【雲透かし】と呼ばれる、雲をかたどった模様や、【網目】、【唐草】などの透かし模様が入ります。

 

材質には、アルミ製や真鍮、銅製があります。

 

内部の明かりには、電装を入れ安全性が上がっています。

最近ではLED電球に変え、発熱も抑えられています。

アルミ本丸型院玄灯篭上から

色には、金色、イブシ色、宣徳色(濃い茶色)があります。

仏壇に合わせて選んでいきましょう。

吊り灯篭 イブシアップ
アルミ製 本丸型唐草入り灯篭

さらに、モダン仏壇にも飾れるよう小型でオシャレなものや、簡単に取り付けできるクリップなども販売されています。

 

簡単に、主な院玄灯篭を紹介します。

【雲透かし灯篭】真鍮製と銅製

画像クリックで拡大

真鍮雲透し灯篭

火袋にある透かし模様が雲の形をしています。

銅地のほうが透かしに立体感があり豪華になります。

銅地雲透し灯篭

 

【アルミ製 新夏目唐草灯篭】

アルミ製新夏目唐草灯篭

火袋にある透かし模様が唐草柄です。

右側の「イブシ」ですが、濃い色ではなく、どちらかというと銀色に近い色をしています。

【アルミ製 新丸型灯篭】

アルミ新丸型灯篭

「丸型」とは言いますが、「球」ではなく、「みかん型」になっています。

火袋は網目状です。

神前灯篭

神前灯篭(金灯篭ともいう)は、浄土真宗で使い、仏壇の天井から吊り下げて飾ります。

胴の部分が真上から見ると6角形をしています。

 

足の部分の形によって浄土真宗の中でも2種類の形に分かれます。

 

神前灯篭は火袋の2辺の幅の長さが基準寸法になります。

と言われてもよくわからないと思いますので、総丈と幅を気にすれば大丈夫です。

神前灯篭基準寸法

神前灯篭の幅と高さ

あるメーカーの寸法表です。参考にしてみてください。

【1寸は約3センチです】仏壇や仏具の基準寸法は尺貫法を使います。

アルミ製 神前灯篭の寸法表

丁足・猫足共通です。

寸法高さ×巾(mm)
1.593×84
1.8105×102
2.0111×112
2.5135×132
3.0175×165
4.0260×215

猫足をした神前灯篭(主に本願寺派)

アルミ猫足神前灯篭

本願寺派(お西)や仏光寺派などはこちらの【猫足】の形を使用します。

灯篭の下の部分が内向きに曲がっていて、まるで猫の前足のようだということで、こう呼ばれるようになりました。

丁足の神前灯篭(主に大谷派)

アルミ丁足神前灯篭

【丁足】(ちょうあし)と言って、猫足とは逆に、外へ向かって真っすぐ広がっている足は、主に大谷派(お東)で飾ります。

 

神前灯篭の材質は院玄灯篭と同じく、アルミ製、真鍮製、銅製とありますが、色は金色のみになっています。

真宗系は金仏壇が基本だったことが原因と思われます。

唐木の吊り灯篭

唐木吊り灯篭如月

唐木の吊り灯篭もあります。

ただ、種類は多くありません。

 

唐木仏壇に吊ることになりますが、唐木仏壇には必ず唐木の灯篭を吊るさなければいけないわけではありません。

唐木仏壇でも、金色やイブシの灯篭を吊り下げることが多いです。

置灯篭

アンチ製丸型灯篭

こちらは仏壇の中や経机の上に置くタイプです。

浄土真宗以外の宗派で使われています。

使用時は一対となります。

材質にはプラスチック製や真鍮製があります。

それぞれの灯篭の飾り方

吊り下げ式の灯篭は仏壇の天井の格子にヒートンを取り付け、そこにぶら下げます。

電装のコードはたゆまないようにしておきましょう。

なるべく目につかないように配線していきます。

 

ただ、設置自体が大変なので、購入した所で設置のお願いをすることをオススメします。

吊り灯篭用クリップを使うなら取り付けは簡単にできます。

しかし、配線はやはり大変だと思います。

できないことはないのですが、面倒くさいです。

 

隅瓔珞も飾るなら、隅瓔珞を吊り灯篭の外側にくるよう取り付けます。

外側にくるよう設置と言いましたが、仏壇の構造次第では逆もあります。

厳しい決まりはないのでここは臨機応変にいきましょう。

 

置き灯篭は、配線コードに気を付けながら本尊が安置してある段以外のところへ置いておきます。

電源が届かない場合が多いです。

延長コードの準備もしておきましょう。

 

大型の仏壇になると、吊り灯篭と置き灯篭を一緒に飾ることもあります。

内部をさらに明るくするためです。

吊り灯篭は本尊のため、置き灯篭は手元の明かり用としてです。

吊り灯篭は夏目型と丸型どちらがいいの?

たまに、

「どっちの形がいいのか?」「どちらが正式なのか?」という質問を受けます。

結論は、「お好みで選んで大丈夫」です。

 

リビングの照明を選ぶように、仏壇の雰囲気に合う灯篭を選んでください。

 

安さで選ぶならアルミ製の本丸型になります。

 

どうしても決めてくれと言われたら、

私は、【アルミ製の新夏目唐草柄の消金】をオススメします。

消金仕上げなので、どんな仏壇にも対しても主張しすぎず調和するからです。

吊り灯篭の電装を取り付けてみる

吊り灯篭の電装取り付け方例

●用意するもの

・灯篭(今回は新夏目灯篭「大」を使用)

・電装一式(アダプター・入力コード・院玄コード・夏目球・ターミナル)
※電装には「オアシスライト ミニ」という商品を使いました

①夏目球をソケットに回し入れます。

②コードの先端を灯篭の火袋内にあるパイプに入れます。

灯篭の電装取り付け方例ソケットに夏目球を入れている

③パイプの上部からコード先端が出るまでがんばります。

灯篭の電装取り付け方例院玄コードを引っ張る

灯篭の電装取り付け方例夏目球を取り付けた全体像

④院玄コードをターミナルにつなぎます。入力コード、アダプターをつなぎ、点灯を確認します。

灯篭の電装取り付け方例電装の紹介

アダプターと入力コードの間に手元スイッチを付けると、手元で明かりのON、OFFができます。

灯篭の電装取り付け方例電装の紹介灯篭に明かりが灯った

 

電装取り付け時に注意すること

仏壇の大きさによってコードが足りないことがあります。

どのくらいの長さが必要かよく確認してください。

 

ギリギリの長さではなく、余裕を持たせるのがコツです。

問屋さん
長ければ束ねておけばいいだけです。

足りない時は、延長コードを買い足します。

 

院玄コード、錀灯コード、ローソク灯がセットになっている場合がありますが、必要なものだけ揃えておけば大丈夫です。

 

100Vのコードの場合、灯篭が小さいとパイプを通らないことがあります。

できれば、細いコードになっている、電圧が低いもの(3Vや12Vなど)をオススメします。

具体的には【オアシスライト】【NEWともしび】になります。

 

LED電球ですと長寿命です。

ただ、コードなどは劣化するので、10年くらいしたら、断線のため点かなくなる可能性があります。

 

その時は、一式交換しましょう。

10年持てば十分、元は取れたはずです。

仏壇を大掃除するいい機会だと前向きにとらえてみてはどうでしょうか?